2017年10月

 
 
日本画の祖といえば、と聞かれたら狩野元信の名を挙げる方も多いのでは?
雪舟と同じく室町時代後期、つまり戦国時代を生きた人で、かの狩野永徳の祖父、実質的な狩野派の創業者です。
孫の狩野永徳、曾々孫の狩野探幽と違い元信にスポットを当てた展覧会は珍しいのでサントリー美術館に見に行ってきました。



代表作、もと大徳寺大仙院に飾られていた襖絵(一部) 写真は図録から。


 この滝の表現が凄いのです。


私たちは、たとえば葛飾北斎など江戸期の絵師が水をこのように大胆な線描で表現するのを知っているので、この絵を見ても目新しくない気がしてしまいます。実は元信のほうが遥かに古い時代なのですね。


図録などの解説で知ったのですが、水墨画から出発した元信は土佐派など色鮮やかに彩色する大和絵の技法を学び、融合させた最初の絵師だそうです。
何事も最初にした人が評価されるべき!という目で見ると、伊藤若冲の極彩色かつ細かい表現の鳥たちも、「モトは元信」な気がしてきました。

同じく大仙院の襖絵(一部)


鳥の彩色は大和絵由来、その写実性は水墨画由来、岩の力強い写実表現は墨絵そのもの。なるほど!

表現というなら、こちらも印象的です。(写真は図録から)

たゆたう霧、流れる水流、水の表現が何ともキレイ。

面白い展示もありました。
元信自身直筆の下絵だそうです。





サッサッサと、あるいはチョコチョコと描いた動物が何だか可愛く、ほほえましい雰囲気があります。この下絵を利用したと思われる作品は複数あるそうですが、その一つが

四季花鳥図屏風(一部)


金箔を貼った上に描いた絵を「金碧画」と呼びますが、秀吉や家康の時代に活躍した狩野永徳、長谷川等伯、海北友松らの国宝になっているような金碧画からみると、この絵が大先輩にあたるそうです。

一番面白かった絵は
    養蚕機織図屏風


養蚕から機織りして絹地を織りあげるまでの各工程を描き込んだ屏風です。




この時代の墨絵はどうしても中国の名勝や風景か仙人画のような決まり事のある画題が多いので、働く人々を画題にしたものは初めて観ました。
中国へ渡ったことはない元信。この養蚕風景は日本の作業の様子をかの国の人々が行っているように見立てて描いたのでしょう。
手描き友禅にとって欠かせない材料第一である絹。すべて手作業の時代、蚕を育て、糸をとり、機織りして作っていたのですね~と風俗画を見る気持ちで眺めたことでした。

最後にご紹介するのは明代の中国絵画。

 四季花鳥図 呂紀(明代)


足利将軍が南宋の文物を珍重したことは有名ですが、この絵は明代のもの。狩野派などの絵画はもちろん着物の模様表現の原点と言えるような描写ですね。「モトはここなのか」です。
作品入れ替えがあり、これからの時期の方が著名な作品が多いようです。11月5日まで。もう一度行ってみようかと思案中…。(*^。^*)


展覧会ルポ | 10:12 PM | comments (x) | trackback (x)
 先だっての「しゃれ帯展」に出品した無線友禅の帯の染め風景を写しました。


 
 「無線」とは文字通り「線が無い」友禅染のこと。
これに対するのが糸目友禅。下絵を糸目糊でなぞってから色挿しするので、糊の跡が白い糸目状の線となって模様に残るからです。
通常友禅と言えば糸目友禅を指しますが、糸目糊を使わずに水彩画のように描く技法を「無線友禅」と呼ぶのです。糸目状の線が無い仕上がりになるからです。

 今回はまず染色用の墨色で下絵を描き、さらに色を染める更紗模様風の染めにしました。
墨下絵の次に地染めをします。
 ローズグレーの濃淡2色でぼかすので、先に濃い部分を染め、後から染料を重ねて染めます。

 
 下絵とは別に、ぼかしの目印となる線が新花(水で消える染色作業用の青色)で描いてあります。この目印に沿って刷毛で染料をぼかしていきます。



 一部を赤でぼかしコントラストを楽しむ色合いにしました。
 


 地染めの次に色挿し。


 伸子で張ってありますが、前後に白い布を被せてあるのは汚れや擦れを防ぐためです。


 墨の線からはみ出さないようにバラの色を挿していきます。
 (もっと更紗風にわざとはみ出させる方法もあります)

 仕上がり


 実際に締めるとローズグレーの濃淡が目立つ配分になっています。
お太鼓のタレ先はグレーで、お太鼓の下の部分の赤と対比、するとおしゃれだな、と。
お太鼓の中をくぐる手先は濃いグレーになります。

ぼかし屋の染め風景 | 02:59 PM | comments (x) | trackback (x)
 

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