- トップページ >
- ぼかし屋の染めとは?
ぼかし屋の染めは手描きの友禅染めと、ぼかし技法による地染めです。
友禅染は糊で防染しながら色を挿して、着物に模様を染め付ける技法のことです。
日本の染色技法の中では比較的新しく江戸時代から始まったと言われています。
豊富な色使いで模様を染め分ける写実的な表現に向いています。
友禅染は、大きくは手描友禅(でがきゆうぜん)と型友禅(かたゆうぜん)に分けられます。
● 手描友禅
手描友禅は誂え一点物の創作に向く技法です。
糸目糊(いとめのり)と呼ばれる糊で模様の下絵にそって手で糊を細く線描きし、その糊を防染に利用しながら、筆や刷毛を使って一か所ずつ模様に色を挿していきます。
手挿しですから花びら一枚一枚に、ぼかし(色の濃淡)をつけるなど細かい表現ができます。
染め上りの模様の上に、防染に使った糊の跡が糸のような白い線(糸目)となって残るので
糸目友禅(いとめゆうぜん)とも呼ばれます。
糸目糊の跡が模様を鮮やかにする効果を上げています。
濃淡が模様を立体的に見せる効果を上げています。
手描友禅の中には、糊防染せずに水彩画のように模様を描く技法もあります。
糸目の白い線がないので無線友禅(むせんゆうぜん)と呼ばれます。
ぼかし屋では主に糸目友禅で染めますが、デザインによっては無線友禅の技法も用います。
● 型友禅
型友禅は、生地に置いた型紙を利用して糊防染や色付けをする伝統的な技法です。
ぼかし屋では承りませんが、型を扱う職人の専門技術が必要で、同じ模様で複数の着物を生産することができるため友禅染の晴れ着の普及に貢献しました。
●手描友禅、型友禅とは別に、現在では各種印刷技術を用いて友禅風の模様を染めつけた着物もたくさんあります。お気軽にお召しいただけるよう、特に若い方向けの色柄を工夫して生産されているようです。
花柄などの模様部分を染める友禅染めに対して、
模様の背景となる絹地全体の色を染めるのが、地染めです。
地染めの方法はいくつかありますが、
反物を長くピンと張って刷毛で染め付ける技法を引き染めといいます。
ぼかし屋の地染めは引き染めで行います。
さらに、生地をすべて同じ色調で塗りきるのではなく、
模様に合わせて色に濃淡をつける技法をぼかし染めと呼び、
この技法を応用して、染め分け(生地一反を複数色で染め分けること)も行います。
ぼかし屋の染め工程の一例をご覧ください。
長い工程のうち友禅染と地染めの部分をご紹介します。
ご覧の作品は水に流れる紅葉の葉をイメージした色留袖風の柄ゆきの訪問着です。
地色は、薄緑色のぼかし染めを利用して水の透明感を表現しています。
シックな雰囲気ながら上半身にもぼかし染めの濃淡をつけることで、より華やかにしました。
下絵をなぞった糸目糊の模様に色を挿します。色は染料から一色ごとに染料皿で煮て作ります。 | |
作業机の中央の穴に熱源を置きます。 生地を熱源にさらしながら色挿しを行い、挿した染料が少し乾いた状態で紅葉にボカシの濃淡をつけます。 熱源は染料を煮る時には高温に、色挿しの時は低温に調整します。 |
|
模様伸子(もようしんし)で絹地をピンと張って、順に作業を行います。 | |
友禅染めの済んだ模様の上を糊で防染します。 | |
張り手で布を長く張り、引き染めします。染めの刷毛を動かしやすいように布をピンとさせます。 | |
防染した箇所は地色の染料が入りません。 | |
地染めが済み、乾燥したところを裏から見た様子。模様部分に染料が入っていないことが分かります。 絹地を横断しているのは伸子針(しんしばり)。布が縦横に引っ張られた状態で地の色を染めることで染料が均等に布に含まれ、ムラのない染上りとなります。 |
|
糊を落とす前に布を並べボカシ線がつながった事を確認します。 | |
糊を落として染上り。 | |
※友禅染の工程は「誂え染め〜振袖〜」コーナーでもご覧いただけます。