2021年02月

 
 



チラシの写真の正式名称は「尾形光琳、白綾地秋草模様 小袖」
重要文化財で、通称「冬木小袖」
光琳のスポンサーだった冬木家の夫人が着たことの因んだ呼び名だそうです。

この小袖は昨年から2年がかりの修理中で、上野の東京国立博物館が資金を募集中です。
詳細はチラシの反対側に。




博物館の館内でレプリカの展示と共に募金箱がありまして、僅かながら賛同してきました。
会場にマネキンに着付けたラプリカが展示されていました。
細い帯を前結び。この着付けなら楽に着られそう。帯の巾が広くなり現代の着付けに近くなったのは江戸時代も後期からです。


写真ですと友禅模様のように見えますが、光琳の時代、江戸初期は、まだ糊防染の糸目友禅の技術は確立していない時期で、解説によれば白生地に日本画と同じように墨絵で描き、藍の濃淡も加えて描かれているとのこと。
縫い目を越えて模様がつながる絵羽模様になっていて、屏風絵のような自由な図柄を着物にも表現することの出発点のような作品だと思います。

寄付の目標は1500万円だそうです。
一口 1000円から。ウェブサイトにて⇊
https://cpcp.nich.go.jp/fuyuki/

お知らせ | 11:14 PM | comments (x) | trackback (x)
東京手描き友禅は制作者にもよりますが、地色や模様にぼかしを入れて濃淡をつける場合が多いようです。ぼかし屋という名称も模様のほとんどに濃淡や複数色のぼかしを入れて制作するところから。
ぼかしは一般の名詞なので、ちょっと図々しい名乗りで気後れしておりますが(^^;)

今回は模様のぼかしに使う片歯刷毛(かたはばけ)も一緒に紹介します。


刷毛の巾は色々。ぼかす面積によって使い分けます。


竹でしっかりと毛を挟んだ平たい刷毛ですが、よく見ると毛は竹の部分と平行ではなく、斜めになっています。

まず刷毛に水を含ませ、斜めの尖った方にだけ染料をつけ、水の力を借りてぼかしをします。
毛の部分が乾くと綺麗なぼかしにならないので、刷毛はそのつど水で洗います。


水にドッとつけて洗うと毛の中の染料の残りが刷毛全体に回ってしまうので要注意。
筆洗の縁を利用して、刷毛をしごきながら洗うのです。


すると、余分な染料が毛の尖った方から直接筆洗の中に落ちていきます。
染料のついていない側が汚れずに洗えるのです。
生地にぼかす以前に、染料が刷毛の毛にある時点で、すでに濃淡がついている訳です。尖った方が濃く。
片歯刷毛も色別に揃えてレッツ染め。


前回紹介したように、大輪の花の場合は一輪を何回かに分けて染めます。




全体のイメージでは「赤いバラ」ですが、模様ですから、着た時に綺麗に見えることが第一。バラによって赤の種類や濃さを変え、白(ごふん)も使って豪華に。



作業机での写真では電灯のために赤の部分が朱色がかって見えます。


色は太陽光で見た場合が基準。色を作る時や色挿しに最中にも幾度も太陽光の明るい窓際で色合いを確認しながら進めます。


太陽光のもとでは赤は紅色がかっているのをご覧いただけるでしょうか。こちらが本当の色。
今回は上下で色、模様が異なる着物の色挿しです。裾模様の青や紫の強さとのバランスも見ながらバラの赤を決めていきます。
このあと葉とツルを染めます。色挿しも終盤へ。続きは次回に。

ぼかし屋の染め風景 | 11:26 PM | comments (x) | trackback (x)
 

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