片歯刷毛のぼかし

 


手描き友禅ではよく模様の中をぼかして濃淡をつけます。
模様が立体的になるのと、手描きならではの優しい雰囲気が出るためです。

ぼかしで活躍するのが片歯刷毛(かたはばけ)です。


右から4本が片歯刷毛、残る2本は丸刷毛。
比べると片歯刷毛は薄く先端の片側だけが少し尖らせてあるのでこの名前があります。どちらもぼかしで使われますが、片歯刷毛の方が細かい作業に向きます。
片歯刷毛に番号がついていて、大きな番号ほど大きな面を一気にぼかすことができます。


複雑に組み合わさった薔薇の花びらを立体的に見せるためにぼかしているところ。


色はあらかじめ濃淡で複数揃えます。


色調によりますが、このように大きな花は花弁一枚ずつぼかしていきます。


ここでは5番、6番のサイズを使いました。
水を含ませた片歯刷毛の尖った方にだけ染料を含ませて塗ると水の助けで染料が濃淡にぼかせます。


全体の色を挿し終ると大輪の花出来上がりです。
最後に糸目糊が抜けるとスッキリします。
さらに大きいと丸刷毛も併用することもあります。

手描き友禅の模様色挿しで使用する刷毛は片歯刷毛、丸刷毛、牡丹刷毛など。
ぼかしの雰囲気によっては染め筆のままぼかすこともあります。
とても細かい所や、尖った先端などには面相筆の穂先も使います。
先人が工夫して生み出してきた刷毛や筆、頼りになる道具です。
作ってくださる職人さんに感謝<m(__)m>


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