2017,06,30, Friday
ぼかしの
引き染めで
夏の薄いスカーフ染めをしました。
着物地より薄い生地でも、
張り手は着物と同じ。
麻縄でギュッと横に引き長く張って染めるのも同じですが、使う
伸子針(しんしばり)が違います。

張り手のすぐ下に写っているのが、
着物用の伸子針。
その下に移っている
少し短く細い伸子針が、弱かったり幅が狭かったりする生地用の伸子。スカーフにはこちらを使いました。

伸子の使い方は着物を染める時と同じ。

生地が乾くに従い透明感が増し、下に置かれた染料バケツが透けて見えます。

今回使用した刷毛。三寸刷毛と丸刷毛、筆です。

染め上がりを作業用のフロアスタンドに掛けたところ。透き通って涼し気。
ピンクや緑、黄色など
多色のぼかし染めは、普通の生地ではかなり派手になってしまいますが、このように透けていると、
発色が抑えられるので上品な面白さがでると思います。
伸子針(しんしばり)には実は様々な長さがあります。
いずれ紹介していきたいと思います。
ぼかし屋の染め風景 | 10:10 PM
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2017,05,31, Wednesday
手描友禅誂え染めの振袖:英国風にbespoke kimono:ビスポークの着物
:米国風にcustommade kimono:カスタムメードの着物……呼び方は色々ありますが。
ぼかし屋は東京手描友禅を誂え染めで承っております。
お客様の様々なご希望に沿うよう工夫していくなかで、こちらが勉強をさせていただく事も多い日々です。
本日ご紹介するのは、黒地に染めた上に鮮やかな菊の花を散らせた個性的な振袖。

黒地散らし菊文様振袖
アニメの物語に登場する少女が着ていた振袖と同じイメージで、というご注文でした。
アニメのクラシックな雰囲気を壊さないように、実際に二十歳のお嬢様が着た時に綺麗に見えるように、お客様と相談しながら柄を起こしました。
ちょっとワイルドな雰囲気の菊。
お客様が「こんな感じの菊が好み」とイラストで説明してくださったので、とても助かりました。
古典的な雰囲気を出すために、菊に合わせた濃い朱色で染めた比翼をつけて
「比翼仕立て」にしました。
三尺の大振袖にも朱色の振りを付けました。.JPG2.JPG)
歩いたり袖が揺れたりすると、裾や袖のうしろ側に朱色がのぞき市松人形のようにクラシックです。
比翼仕立ては現代では黒留袖に多いのですが、本来は格式ある礼装で広く行われていました。今でも振袖や色留袖など、ご希望によって比翼をつけ豪華な雰囲気にいたします。
製作風景をご覧ください。

仮絵羽仕立てした状態で下絵を描いていきます。
ぼかし屋では紙青花を愛用しています。


衿、胸、袖にかけて模様がつながります。これを絵羽模様といいます。
サッと描いてある〇 仮絵羽仕立てでお客様に羽織っていただいて調整した時に、ここに花を増やすと決めてつけた印です。

裾も連続した模様に。絵羽とは「縫い目を越えて模様が連続している」こと。
たとえ散らし文様でも、絵羽模様になっていると着用した時に格の高い印象を与えます。おそらく室町期以来日本人の馴染んできた屏風絵や襖絵の影響だと思います。
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糸目糊置きの作業
仮絵羽
仕立てを解き、生地は伸子に張ってピンとさせてあります。
糸目糊置きが終了
今回は黒地なので模様の色差しより
先に地色の染めを行いました。
模様も地色も一貫制作のぼかし屋ですが、
黒染だけは専門の黒染屋さんにお願いします。

黒染め屋さんから戻ってきた生地に
フノリ地入れしています。
糊気がないと模様色差しの時に染料が生地に定着しません。染料が糸目糊を超えてはみ出す原因にもなります。
いよいよ
色差し。
大きな菊が単調にならないよう、各色とも三種類の濃淡を用意しています。
外に向かって淡くなるよう 花弁ごとに水の力を借りて、
薄い色から濃い色へと ぼかし染めしていきます。
.JPG2.JPG)
途中で 「絵羽模様の左右で色が合っているかどうか」「各色の菊の散り具合はどうか」確認しながら作業を進めます。
最後に生地を並べて再点検。

一番裾に生地を伸子の針から保護するための「端切れ」がまだ付いたままです。
整理屋さんから戻ってきた生地。糸目糊がとれて、
糊の跡が糸目のように白く浮き上がって見えます。(糸目糊の名前の由来)

さらに水洗いで余分な染料や糊成分などを落とし、乾燥。湯のしで生地目、生地幅を整えて、最初に糸から白生地に織られた時と同じ状態に戻りました。色、模様がついているだけが違いです。
左端の縫い目は、衿と衽(おくみ)を剥ぎ合せたところ。
仮絵羽仕立てを解いて染める誂え染めでは、作業中必ず衽の中央、衿との境にこの縫い目があります。
アニメの少女の振袖には金銀は使われていませんでしたが、現実の振袖として少しは金色も欲しいところ。
金をぼかし状に
柔らかくあしらいました。

出来上がりの生地はスッキリと光沢が出てとてもきれいです。

染色作業がすべて済んで点検しながら衣桁に掛けて眺めているところ!(^^)!
お客様に上がりを確認いただいて仕立て屋さんへ移動します。
お嫁入りも近いというわけです。
ぼかし屋の作品紹介 | 11:41 PM
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2017,04,28, Friday
本日は子供用の被布を紹介します。

被布(ひふ)は着物の上が重ねて着用するものです。
かつては大人の女性も着用しましたが、今はもっぱら七五三のお祝い着に重ねて女児が着る袖なしの上着を指します。
古典的な緑色に折り鶴の模様。

地色のぼかしは、前見頃で段違いにして華やかさを出しました。
朱色系のお祝着によく合う色合いです。
最近「折り鶴」の歴史についての新聞記事を読みました。
今年2/22の朝日新聞紙面

折り鶴は江戸時代18世紀以降のものだと考えられてきたが、
16世紀末~17世紀初頭には存在したことが分かったという内容です。

三羽の折り鶴が彫り込まれている小柄(こづか)が豊臣秀吉に仕えた職人の作と確認されたそうです。
小柄は刀の鞘の外側に紐巻きして付けておく細いカッターのような小刀です。
小柄の柄は紐巻した上から見えるので、刀の装飾の一部となり、おしゃれのために武士が凝った小柄を自分の刀につけたそうです。
この鶴の大きさは1㎝か1.5㎝といったところ。細かい細工です。
この記事によれば、折り紙はもともと室町時代に武士が贈答品を包むための礼法として広まり、江戸時代になって町人にも普及したとか。
日本の庶民文化の代表のような折り紙、武士の嗜みとして始まったという折り鶴の歴史は案外古いような、新しいような…
今では折り鶴模様は可愛らしい着物の柄として好まれています。
もとが折り紙なので、
何色も色を使っても上品に見えるところが嬉しく便利な模様です。
ぼかし屋の作品紹介 | 12:20 AM
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2017,02,08, Wednesday
おかげ様で無事に染芸展が終了しました。
会場で撮影した自作です。
題名は「雨天」としましたが、
多くの方から「ほんと、雨ね」との言葉を頂戴しました。

染色工程は1/29のブログ「東京手描友禅、訪問着の染め風景」に載せました。
あじさいは好きなモチーフなので、これからも試していきたいと思います。
友禅の体験コーナーではお客様と楽しいひと時を過ごしました。
筆に染料をつけ過ぎて糸目糊から色がはみ出し焦るお客様や、
ぼかしたハズが、くっきり色分けになって苦笑いするお客様や…
昨年お会いした方がまたお越しくださったり。
皆様ありがとうございました。
また来年に。
お知らせ | 01:50 PM
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