2020年12月

 
 
今日の朝日新聞朝刊の報道から。




日本の伝統的木造建築を作る技術がユネスコ無形文化遺産に登録されることが決まったというニュースです。
これまで法隆寺や姫路城のように建造物は世界遺産として登録されていましたが、今回はそれを作る技術に陽があたったということで、嬉しいことです。


記事によれば「建築木工」「檜皮葺、柿葺」(ひわだぶき、こけらぶき)漆喰や土で壁を塗り上げる「左官」などの技術と、材料の生産保存の技術も含まれているそうです。

技術という「縁の下の力持ち」が登録される嬉しいニュースであると同時に、そうして保護しなければ消えてしまう恐れがあるということなので、少々複雑です。

ぼかし屋の属する「東京手描友禅」も絶滅危惧種(^^;)
ワシントン条約でも、ユネスコでもいいので守ってくれないかしら~~
冗談はさておき、
この記事に関連して、同じく絶滅が危惧されている手描友禅の道具類を紹介します。
手描友禅の技術そのもの以上に、それを支える道具は保護を必要としています。



右から、渋筒、面相筆、丸刷毛、染め筆(染料筆)、牡丹刷毛、染め刷毛(三寸刷毛、五寸刷毛)、片歯刷毛
     ※呼び名はところにより違ったりします。
渋筒は和紙に柿渋を塗り固めて円錐形に作られており、先端につけた口金から糊を絞り出して使います。手描友禅だけでなく、模様を線描きする藍染めや、鯉のぼり、大漁旗といった糊防染する染色でも使われます。
和紙そのものが作り手は減る一方で、和紙の中でも特殊な形状の渋筒の将来が不安です。
そうそう、
友禅の道具ではありませんが、着物を仕舞うのに使う畳紙(たとうし)も本来は和紙で作られます。かつては見事な手漉き和紙の畳紙がありましたが、もうまったく見かけません。機械漉きの和紙の畳紙さえ貴重になってきました。
刷毛、筆はいずれも職人さんが頼りの貴重な技術で作られています。動物の毛を選別し束ねるという細かい作業です。


手描友禅の染料には粘り気がなく水と同様にしゃぶしゃぶです。刷毛と筆は保水力がないと、つけた染料がボタボタたれるばかりで綺麗に描けない、思ったように塗れないことになってしまいます。
組合を通して京都の染料店、川勝さんから購入していますが、これでなくてはならない!筆と刷毛なのです。一つひとつ制作して川勝さんに納めてくれている職人さん方、誠にお世話になっております。<(_ _)>

実は、友禅染に関連して一番心配されているのは紙青花。絹地に下絵を描くときに使う染料で、水で流れ落ちるのが特徴です。原料の生産農家が無くなる危機を迎えています。
来月にも詳しく紹介する予定です。


東京手描友禅の道具・作業 | 11:02 PM | comments (x) | trackback (x)
 

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