ぼかし屋の染め風景

 
地色を染めて白く残した模様部分を彩色することを「色挿し」と言います。
友禅挿し」とも。故早坂師匠は「友禅する」という動詞も使っていました。
さてその準備
は当然ですが、染料匙、水分調整に使うスポイド、均染剤や粘剤、皿などなど。


粉末の染料を煮溶かして、色を掛け合わせ、調整して希望の色を作ります。


手元の粉末染料。師匠以来のものもあれば最近購入した色も。
材料屋さんによって色味が違います。

原色の粉末染料を煮て希望する色の濃色を作ります。
これを基本にして水で薄めれば淡色になり、他の色を微妙にかけ合わせて少しだけ違う色も作れます。

振袖は色挿しに長い日数がかかるので、水分蒸発など変色を避けるために、出来上がった基本の濃色(液体)はボトルや小さなタッパーに入れて保管しながら使います。


染料は染料皿に出すとすぐ水分が蒸発し始め、色が濃くなり始めます。スポイドは染料皿に水を足しながら作業するためのものです。最初から最後まで同じ濃度で予定した色合いを保つように。

どんな手順で色挿しするか、全体プランをたて、今回の振袖の色挿しは、最初に裾模様の森の部分から入ります。


裾の背景となる森は黄ばみの強い緑系。


木々が濃色から淡色へ。ぼかし作業。


色を作るときに使った色試し布と一緒に。
模様が絵羽になるように、左右を確かめながら色挿ししていきます。


上半身の赤い部分も写っていますね。
着物は長~い反物を染めて作ります。染めている最中も長~いのです(^^;)

ここでひとつ重要な脇役を紹介します。
作業机には穴が開いていて、下にニクロム電熱器があります。


生地に熱をあてて、乾かしながら染めることで、糸目糊の外に染料が浸みださないようにするためです。ぼかす作業も熱に当てながらの方が濃淡差が付けやすく綺麗に上がります。

さて一般家庭では見かけない機械が!

机の下に置いた変圧器です。
電熱器に100%で通電するとニクロム線が赤くなり、かなり熱くなります。それでは乾きが速すぎますし、第一生地が焦げてしまいます(>_<)
そこで変圧器を通して電圧を下げ、低めの熱さが保たれるようにするのです。温度に決まりはなく、染める人の好みと季節にもよります。
ニクロム電熱器変圧器も今となってはそうそう売っていません。貴重なアナログの道具なのです。


ぼかし屋の染め風景 | 10:01 PM | comments (x) | trackback (x)
模様が入る部分を糊で伏せ、地色の染料を刷毛で染め終わりますと、


このように地(模様の背景)の部分だけでなく、伏せ糊の上にも染料がついて、あまりキレイとは言えない状況です。
フノリと染料でゴワゴワ、お煎餅のように硬くなった伏せ糊がのさばり、伸子針(しんしばり)の跡もツンツン出っ張り、生地はまるで嵐をくぐったご苦労様な状態です。

この後、塗った染料を生地に(糸の奥深くまで)定着させるために「蒸し」という作業があります。大きな窯に生地を吊るして水蒸気で蒸すのです。
その後、水洗いして伏せ糊を洗い流すと、模様部分が白く、染料が付かずに残るわけです。
この「蒸し」と「水もと」は京都の丸京染色さんにお願いしております。


まずはこの生地を京都に送る準備です。
生地を張り手から外し、剥ぎ合せミシンを使って一つの反物状に縫いつなげます。
間に紙を挿みながら巻き取り、巨大な海苔巻きにして宅急便で京都へ。

実はこのあたりの写真がありません。作業の記録として写すという発想が足りなかったり、うっかり忘れたり。記録するというのは一仕事だと思った次第。

そして!京都から帰ってきましたよ!すっかりキレイな反物に戻って。
(保護のために薄いビニールを被っております)


模様部分が白く残っているでしょう?
この部分に色挿しして模様を彩色していくのですが、まず先にキチンと地染めできたか着物状に並べて確認します。
ぼかしのラインが絵羽になっているか
(縫い目を境にズレたりしていないか、ちゃんとつながったか
縫い目を境に色の濃度が違ったりしていないか。


胸元の上前は大丈夫。


下前はぼかしのラインが湾曲しているので一番ハラハラ。


裾模様の空にあたる水色のぼかし。つながってます。


一直線に赤のぼかしが出る背の部分。大丈夫。


仕立てる時に縫い目にあたる部分に青花で線を書きました。右が胸、左が袖となります。
縫い線をはさんで模様がつながり、赤の色合いも同じように発色したことを確認。発色具合が違うと色の手直しが必要になるところです。

モナコ公国の振袖の場合、赤と白で上下を染め分けた国旗のイメージを保つため、赤は国旗と同じ赤色でというご希望でした。
日本伝統の赤は少し朱色によっていますが、紅系の染料を加えて調整した「真っ赤っか」蒸しのお陰でハッキリした赤に発色してくれました。ホッ(*^^)v

この写真は染め上がりの生地の白と赤の部分を合わせて国旗風に撮影したものです。


友禅の引き染めによるモナコ公国の国旗です(‘◇’)ゞ


ぼかし屋の染め風景 | 10:19 PM | comments (x) | trackback (x)
前回紹介の伏せ糊で、模様部分をカバーして染料が入らないようする防染作業が済んだので、いよいよ地の色(模様の背景の色)を染めます。地染(じぞめ)といいます。

伏せ糊が一層よく生地に食いつくように、まずフノリを刷毛でのばして塗ります。地入れをいう作業で、洗濯糊で生地をピシッとさせる感じで、伏せ糊を始める前にしたのと同じ作業です。

フノリは海藻を煮溶かした液状の糊
手描き友禅は最初から最後まで様々な固さの糊の助けを借りて染めるのです。
ピシっとしていれば染料が均一に染み透り、塗りムラが起こる危険が減りますが、ゼロには出来ない(-_-;)

赤の部分で使用した染料試し布


染料は粉末の酸性染料をグツグツと煮溶かして作ります。
今回染める赤、ブルー、黄緑のうち、一番難しいのは赤。染めた後、蒸して洗って最後にどのように発色するか分かり難いためです。
同じ赤でも微妙違う色合いがあり、混ぜて煮ながら調整して作ります。赤染料はそれぞれ紅や朱にかかっているので、混ぜて真っ赤っかに見える色を出すわけです。


何度も色試しして前日までに準備した染料三色。
染料は生地に着くと色がよく見えますが、液体の時は黒っぽいのです。取り違えを防ぐために色バケツを使ったり、大きな色の印を付けたり。今回は3色なのでまずまず…5色が限界かな。

ぼかし染はまず生地に霧を吹いて水分を含ませます。水分量が多ければ淡色に、少なければ濃色になります。さらに染料についていない刷毛で生地をこすってぼかしのグラデーションを作ります。


一人で作業しているので細かい写真は写せないのですが、この写真には「ぼかし当り線」がまだ消えずに写っています。

右のぼかしラインの向こうからコチラまで線が3本残っています。染料や霧の水分でやがて消える線です。
予定通りの位置でぼかしを終わらせるために「新花」という下書き用の液体で線を引いてあるのです。どこまで霧を吹くか、どこまで刷毛を走らせるかの位置が分かるようにするためです。


この写真は短い生地が写っているでしょう?


試し染め部分です。生地の一部を使い模様の一部と地色を本番部分と同じように、ただし一足先に染め作業をしていくのです。色試しやぼかし方の最終確認といったところです。


伏せ糊の色の変わっている所は青い染料がついた部分。
伏せ糊防染(染まるのを防ぐ)の役割がよく分かる写真となりました。

赤も同じく、よく伏せ糊が働いてくれています。


右袖の前側は赤の塗切り。キッチリ真っ赤に。


裏から見ると伏せ糊をしたところには赤い染料が入り込まずに白く残っているのが確認できます。

ひとまず ホッ(^^;)




ぼかし屋の染め風景 | 09:51 PM | comments (x) | trackback (x)
糸目糊、下絵落とし、地入れときて、いよいよ伏せ糊です。
着物の模様の背景色(着物地、全体の色)を染める前に、模様の部分に糊を覆いかぶせて、染料が入らないようにする(防染)ための作業です。


糊は餅粉と糠粉を練り→蒸し→さらに練り→塩を加え、季節により(湿度により)グリセリンを加えて作ります。かつてはすべて自作でしたが、材料の入手難もあり現在は蒸して練り上げた状態の糊を材料屋さんから購入し、好みで調整して使っています。


伏せ糊をおいている最中。
乾いていないネバネバの糊が模様を覆っています。
このように模様の糸目糊にぴったり沿って糊の置くには道具が必要です。


糊筒 大小2種類 
筒は丈夫な和紙で作られています。口金を付けて希望の太さで糊を絞り出して、糸目糊のフチに沿うように、模様から糊がはみ出さないように糊で模様を伏せて行きます。
伏せたら糊が乾かないうちにトノ粉(木材のおが屑の粉)でカバーしておきます。


上部がトノ粉を振ったところ、下部はまだ糊だけ。
トノ粉で表面をカバーすると糊が丈夫になり、染める時には染料や水分を吸い取って糊を保護してくれます。

トノ粉を振っているところ。このお風呂椅子は伏せ糊専用(^^;)
この作業中は新聞を敷いたり、頻繁に掃除機をかけたりしますが、余分なトノ粉をブラシで掃ったりするので室内はトノ粉でジャリジャリ!


作業中のお盆の上
色々ありますね。糊、濡れた布巾、口金を洗う水とマチ針、霧吹き、糊をなでる小さいヘラなどなど。
糊は水分で硬さが変わり、程よい水分がないと作業がやりにくいので始終霧を吹いて、ボールの中の糊の硬さを同じに保ち、糊が付く相手の生地にも程よい水分を与え続けます。

裏から見ると水分の力で生地と糊が密着しているのが分かります。生地の糸の中まで糊が沁み通らせ、かつ他の部分に糊が沁み出ないように用心々。


作業が済むと、染める時と同じ力でまっすぐに張った状態で乾かします。生地がたるんでいると、たるんだ形で糊が固まり、染める時にまっすぐに張ると糊と生地が剥離する原因になります。


乾いてくると透明感が出て、伏せ糊の下の糸目糊の模様が見えてきます。ざっと乾いたら、この状態で一度裏返して、同じ糊で模様のフチだけを裏打ちします。


地色の染料が入り込まないように堤防を厚くするわけです。
表裏の糊が触っても大丈夫なくらいに乾くといよいよ色が登場する染めへ。
これがお煎餅ほどにパリッと乾いてしまうと、糊が割れて染料が入り込みやすくなってしまいます。
添加したグリセリンがお煎餅化を遅らせてくれます。
歯ごたえのあるゼリー菓子くらいになったら、お煎餅になる前に地色を染めないと!
一番気ぜわしい工程です。


ぼかし屋の染め風景 | 11:02 PM | comments (x) | trackback (x)

前回紹介した下絵洗いが終わると、水のためにシワシワになった絹の上に図案をなぞったゴム糊が糸目状に残っている、でもまだ不安定で、ゴム糊が「生地に食いついていない」状態です。
そこで、


まずこのように生地を張り手にかけて伸子針(しんしばり)で伸ばして、


生地の裏から「揮発地入れ」をします。
生地を裏側から脱脂綿に含ませた揮発剤で拭いて、表に付いているゴム糸目糊を裏側まで貫通させるのです。



どんな揮発剤を使うかは製作者次第で、友禅用ゴム抜き剤あり、ベンジンありですが、ぼかし屋ではロウケツ染めの材料として調合されたロー落とし剤を使っています。

その後で、フノリを水で溶いて刷毛で絹地全体に塗る「ふのり地入れ」を行います。
フノリって何?とお思いの方へ。
「ふのり地入れ」はまだあと2回も登場するので、その時に写真付きで説明いたしますね。
イメージとしては洗濯糊と同じで、生地面を平に張りを持たせるためのものです。
とにかく友禅染は生地がぴぃ~んとしていないと作業出来ない、とご記憶下さいませ。

揮発とフノリ、2種類の「地入れ」が済むと、シワシワだった生地がぴぃ~んとして、次の工程へ進む準備だできるわけです。


アップでご覧ください。
ぴぃ~んとした生地の上にしっかりと糸目糊が付いて、模様を描き出しています。
これで友禅染の準備が整いました。

次は模様を糊で伏せて防染作業です。


ぼかし屋の染め風景 | 11:23 PM | comments (x) | trackback (x)
これは何をしている風景でしょうか?


(答えは一番最後に)

前回の紹介風景までで下絵糸目糊置きが終わりました。
普通はこの後に色を染める工程が紹介されますが、ここでは糊と染めの間の隙間作業を紹介いたします。


こちらは下絵を糸目糊でなぞり終わって、下絵が不要になったところです。
糸目の下から濃い青で下絵がのぞいています。
形を訂正したり、ぼかしを入れる予定の箇所につけた印など色々ついています。

このまま染め始めると青花の花汁で描いた下絵が流れ出て生地を汚してしまうので、染め作業に入るまえに下絵を洗い落とすのです。ぼかし屋ではお湯を使い、簡単に流れ落ちます。
お湯をくぐることで、絹生地の染め付けも良くなると感じております。


洗うと、絹の生地は縮み、幅もすぼまります。
でもご安心、この後でフノリ地入れなどの工程で形を整えながら染めでいきます。


水洗いした振袖用の長~い生地を室内干しして(外では虫やホコリの心配が)
完全に乾燥させてから、次へ進むのです。


ほら下絵がとれて図案通りの糸目糊だけが残ってスッキリ!
ゴム糸目糊の水に溶けない成分を利用した方法です。

糸目糊おきと、染料による着色という主要な工程の間の、隙間の工程、ニッチですが、省略できない大切な部分なのです。
(この辺りは同じ東京手描き友禅であっても、製作者によって違う部分です)

最初の写真は室内干ししているところでした。



ぼかし屋の染め風景 | 10:59 PM | comments (x) | trackback (x)
さて着物の形に仮縫いした白生地に下絵が描かれた状態となりました。


これを解いて、もう一度最初の反物の状態に戻して友禅染へ進みます。


例えは悪いですが、トイレットペーパー状の長~く真っすぐな形にすれば、模様伸子(もようしんし)や張り手に張っての作業が可能になるのです。
縦に長~く裁ち切った衿と衽(おくみ)の部分には、それぞれ当て布を長~く縫い足して、生地の幅を裁ち切る前を同じ幅に戻しておきます。


そこで活躍するのが「剥ぎ合せミシン」
生地と生地の切り目を剥ぎ合せる専用のミシンです。
着物需要の低迷から、もう生産されていないミシンなので「宝物」
災害時は抱いて逃げるつもりでおります。

この「剥ぎ合せミシン」は染め上がった時にもう一度活躍します。
染め上がりなら生地に色があってミシン糸が見やすいので、その時に詳しくご覧いただくつもりです。


こちらが染色作業するばかりに準備ができた白生地を写したものです。
生地の端にも当て布がついています。
地色を染める時に生地に食い込む「張り手」の針から生地を守るためです。

友禅染の特長は、糸目糊という線状の糊で下絵をなぞって防染すること。
糊が付いていた部分には染料がつかないので、最後に糊を落とすと、染まらなかった部分が糸の縫い目のような白い線で浮き上がります。


その糸目糊を引いているところ。糸目糊を置く、とも。

下絵をなぞる糸目糊には、餅粉から作る真糊と、合成ゴムを利用したゴム糊の2種類がありますが、これはゴム。どちらにするかは染め作業に順序によります。
順序は柄行きと色合いによります。
今回は地色に真っ赤なぼかし染めが使われるため、地色染めを模様色挿しより先にするためゴム糸目を使っています。ゴム糊は水洗いでは落ちない事を利用した順序です。


糸目糊置きが済んだところで、要所々を合わせてみて、模様が縫い目を越えてもつながっていることを確認します。
「ちゃんと絵羽模様になっているかな?」です。

ちょっとややこしい説明ですが、今後ご紹介していく作業風景へ進むとご納得いただけるかな、と思っております(^^;)

ぼかし屋の染め風景 | 06:00 PM | comments (x) | trackback (x)

裁ち切った白絹を仮絵羽に仕立てると着物の形になり


縫い目は実際の仕上がりの時と同じ縫い線の位置となります。

この状態で図案を写し取ります。


手描き友禅の作業台は中央に四角い穴が開いて、そこに下絵を描く時は光源を、色挿しする時は熱源を置いて利用します。
もっとガラス面の大きい下絵写し専用の台もありますが、ぼかし屋は色挿し兼用でやっています。
この作業台は昔むかし、東急ハンズで一枚板を買い希望位置をくり抜いて貰ったものです。ハンズで誂えたわけです。(*^^)v
ちなみに板を支えている台は、書類ファイル用のスチール引出し、左右に2台。
板も台も、乗り出して体重をかけて作業してもビクともしません。


仮縫い状態の着物はとても大きいので、補助台も使い、光の部分に順にずらせながら写して行きます。


面相筆と青花液で描きます。


縫い線の左右で図案がズレることなくつながり、それを解いても安心して糊の工程へ進めるわけです。

仮の仕立ての状態で下絵を描き終わると、お客様に羽織っていただき、鏡の前で染め上がりを想像しながら最後の全体調整をします。




花の位置、ぼかしのラインなどを変更できるのは、この段階が最後となります。


ぼかし屋の染め風景 | 01:38 PM | comments (x) | trackback (x)

東京手描友禅は多くの場合、お客様のご希望に沿って図案からおこす誂え染めです。
特に記念となるような振袖の場合は、そのお客様ならではのご希望が出てまいります。
今回はオリンピックに関連しての制作で、上半身はバラと公国の国旗の色(赤と白)の地色で、裾模様には国花のカンパニュラ王宮が入るというリクエストでした。
一番難しかったのは王宮の作図。


残念ながら行ったことのない国で、ネット検索しても出てくるのは観光写真ばかり。幸いテレビでグレース公妃のテレビドキュメントや、モナコ王室専属シェフの方の仕事を紹介する番組などを見る機会があり、そこに写る王宮を録画しては画像を撮影、参考にさせていただきました。



友禅模様にするのですから、さほど細かく描くわけではないのですが、「この尖がりはいったい何かしら」などと虫メガネ(何てアナログ!)も活躍。
古い部分は中世以来という由緒あるお城だそうです。

写真を拡大しただけですと、お城を模様にした時に形が間延びしてしまうので、特徴を強調して描き直しました。つまりデフォルメ。


カンパニュラは桔梗のことですが、色々な種類があるようでした。


カンパニュラが手前、遠景に王宮のあるお城部分です。
王宮裏手に特徴あるコブ型の岩山があるようだったので、さらに遠景として採用(^^♪

上身頃を彩るのはバラ。


モナコ大公ご夫妻の名前を冠したバラの写真
(こちらはネットで山のよううに検索できました)
ピンクも赤も白と強い対比が特徴で、これも友禅に向くように図案化します。

バラのように表現の仕方に幅があるモチーフは、お客様のご希望はもとより作者の好みも大いに反映されるところだと思います。
今回は「遠くから見てもバラに見える」を最優先にして作図。


上半身のバラの流れはツタでまとめることになり、先にツタの流れを決めます。


後からバラを落とし込んで、作図していきます。
上下に走る直線が生地の縫い目にあたる位置です。


全体の調子が揃うように細かい修正をしながら図案を作り上げていきます。
消しゴムのカスがたくさん写っていて失礼します(^^;)
「誂え」ならでは、です。

このようにお客様の好みに沿って服や靴といった身の回り品を誂えることを、英語ではビスポーク(bespoke)と呼ぶそうですよ。
その意味は、依頼主と製作者がトコトン話し合う、です。
ロンドンのセビルロー通りの紳士服店でスーツを誂えることが、その代表格だとか。

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この記事には続きがあります▼
ぼかし屋の染め風景 | 10:29 PM | comments (x) | trackback (x)
オリンピック関連プロジェクト、イマジンワンワールドに参加して制作したモナコ公国をテーマとした振袖の染めの様子を工程ごとに少しずつ紹介していきたいと思います。
追加でご注文いただいた時の記録を主にご紹介しますが、初回制作版の写真も利用させていただきます。

最初は何といっても生地の準備。


生地問屋さんの揃えてもらった同練りの三丈物二反
同練(どうねり)とは同時に作った糸で織った、という意味です。
生地の模様が同じでも、練りが違うと同じ染料を使っても同じには発色しないからです。


本紋と呼ばれる振袖用の地紋で、沙綾形文に菊や蘭が織り出されています。

まず巻を解き、全体の長さを確認します。


白い絹が山のように重なります。本当に美しく、いつも「これに色を付けてしまっていいのかな」と思ってしまいます。白い雪の上を歩いてはいけないような感じです。


尺差しで計って印を打ちます。
まっすぐ計って、まっすぐ裁ち切らなくてはなりません。
この時、活用するのが「畳の縁」


ヘリと畳面のわずかな段差を利用して生地をまっすぐに固定して計るとずれません。
裁ち間違いしないよう何度も何度も計り直しながら鋏でザックリいくわけです(^^;)


衽と衿の間の長い所も延々とまっすぐ切ります。

裁ち切りが済んだら、仕立て屋さんにお願いして仮絵羽仕立てしていただきます。
振袖の形にしてから、生地に下絵を描くためです。

着物が出来上がった時に、縫い目の越えてつながっている模様を絵羽(えば)模様といいます。
例えば豪華な牡丹の花が縫い目でブツッと途切れていたら残念です。
絵羽模様で広々と牡丹の模様がつながっていると立派ですよね!
絵羽模様にするための下準備の仕立てを仮絵羽仕立てと呼ぶわけです。

仕立て屋さんから仮絵羽仕立てとなって戻って来たところ。


出来上がりサイズに合わせて綺麗に着物の形になりました。
さて!ここに図案を描くわけです。
縫い目を越えて模様がつながるように。

その図案については次回に…



ぼかし屋の染め風景 | 04:43 PM | comments (x) | trackback (x)

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