ぼかし屋の染め風景

 
モナコ公国の手描友禅振袖 制作風景 18 丸京染色さんの作業

伝統工芸品としての着物は染め職人だけで作れるわけではありません。
手描友禅だけでなく、型友禅や小紋染、色無地でも、生地に色をつけたあと、
色(染料)を生地に蒸気で蒸して定着させる「蒸し」、
染めに使った糊や余分な染料を洗い落とす「水元」(みずもと)
作業によりシワシワ変形した生地を、織上がりと同じ正形に戻す「湯のし」が必要です。

そういう工程を担ってくれるのが「整理屋さん」
今回の工程では、京都市中京区の丸京染色株式会社さんにお願いしました。


生地を屏風畳み状にセットして


大きい蒸気の蒸し釜で蒸します。

蒸し上がったら、こんな広い所で生地を洗ってくれるのです。

以上3枚は2016年にNHKBSで放送された着物の番組の丸京染色さんを紹介する映像より。

ここからは今回、丸京さんが撮影して下さった写真です。


「水元」(みずもと)の真っ最中


生地を洗うため、作業場にプールのような水槽がありまして、そこを汲み上げた地下水がたっぷり流れているのです。
とても贅沢な最高の水元です。


鯉のぼりではありませんが、生地が気持ちよさそうに泳いでいます♪

生地にブラシ掛けして糊をよく落とす作業をして下さっています。
職人さんはずっと水の中!!


この振袖は地色が真っ赤だったり真っ白だったり、濃い緑もありますので、洗うのは大変なのです。ブラシ掛けなどが甘いと!赤い染料が白地のところに移ったりしてしまいます。

きれいになれ~~


生地目を整える「湯のし」も済んで京都から戻ったところです。
(湯のしの詳細は今後ご紹介しますね)


一箇所も色移りすることなく、ピッシリ仕上げていただきました。
<(_ _)>


糸目糊が落ちて、跡が白い線になっています。
白い線が糸のように見えるので手描友禅糸目友禅とも呼ばれる由来です。


一巻の反物で戻ったところを座敷にグルグルと広げてみましたよ。
六畳間いっぱい、長い長~いものですね、あらためて。

丸京染色さん、お世話になりました。
次回はここに金彩などの仕上げを施す最終工程へ進みます。

ぼかし屋の染め風景 | 06:09 PM | comments (x) | trackback (x)
友禅染の花、色挿しが済んだモナコ公国の振袖。
色挿しで使用した色試し布のうち見栄えのよいものだけ並べて記念撮影


生地も並べて最終チェック。ビニールを被っているのは塗った染料が他に色移りしないように。


この状態は生地に生の染料が浸みているだけで、定着していません。これを大きな蒸し釜で蒸して 糸の芯まで染料を蒸し通らせて色を定着させるせ、さらに「糸目糊落とし」をするのが次の工程です。
アップ写真で糸目糊をご覧下さい。


手描き友禅は「糸目友禅」という別名があるように、糸目糊で線を引き、それを防染(色が混じらないようにする)に利用して多様な色合いに模様染めします。
この糸目糊を落としてもらうのです。

こういう作業をしてくれる業者さんを「整理屋さん」と呼びます。
今回は京都の丸京染色さんという整理屋さんに、この工程をお願いします。
さてその準備。



染める時は衿や衽(おくみ)を裁ち切り、別布を当てて染めやすい形にしています。
整理屋さんに依頼する時は、それをまた元の反物状に縫い戻します。


剥ぎ合せミシンが活躍。
衿と衽は長い距離を延々と縫います。


染めではないもののコレはこれで、一仕事です。




こうして生地は一巻の反物に戻りました。


丸京さんへ宅急便で出発です。

ぼかし屋の染め風景 | 07:12 PM | comments (x) | trackback (x)
モナコ公国をテーマにした手描き友禅の振袖の制作工程を少しずつ紹介してまいりました。たくさんの工程のうち、花形は模様に色を挿すところ。その色挿しの紹介も今回が最後となります。
振袖は袖だけで普通の訪問着一着に相当するほどの模様量があります。
振袖の色挿しとは、始める時は「どうなることやら」と思い、ひたすら作業を続け、途中では「明けない夜はない」と自分を励ましながら、終わりが近づくと淋しくなる、ものです。


裾模様、上半身のバラと進み、残るはバラの葉とアクセントで描いたツタ状の模様を残すのみ。
染料皿の数もぐっと減り、机の上もサッパリしています。


このように巻いてはずらせて模様伸子に張りながら作業します。


緑やグレーが入るので全体が落ち着きます。
染料が乾いたら、またずらせて張り、
また色挿しを繰り返すのです。


生地の下の端にあて布がついています。地色の赤を引き染めした時の刷毛の跡がよく見えております。模様伸子で強く引っ張られる力を、あて布が分散してくれる役目もあります。


染めてはずらすので、東京手描き友禅では作業机の上はこんな風景ですが、京都では室内に柱を立て、ローラーを組み、生地をクルクルをずらせて染めることが多いそうです。便利だなと思いますが、東京流にも大きな利点があります。


このように染めの途中でも、気軽に模様伸子に張ったままで並べられるので、模様がつながっているかどうか、配色のバランスがよいかどうか確認しやすいのです。
いよいよ長かった色挿し工程が終わります。

ぼかし屋の染め風景 | 10:23 PM | comments (x) | trackback (x)
東京手描き友禅は制作者にもよりますが、地色や模様にぼかしを入れて濃淡をつける場合が多いようです。ぼかし屋という名称も模様のほとんどに濃淡や複数色のぼかしを入れて制作するところから。
ぼかしは一般の名詞なので、ちょっと図々しい名乗りで気後れしておりますが(^^;)

今回は模様のぼかしに使う片歯刷毛(かたはばけ)も一緒に紹介します。


刷毛の巾は色々。ぼかす面積によって使い分けます。


竹でしっかりと毛を挟んだ平たい刷毛ですが、よく見ると毛は竹の部分と平行ではなく、斜めになっています。

まず刷毛に水を含ませ、斜めの尖った方にだけ染料をつけ、水の力を借りてぼかしをします。
毛の部分が乾くと綺麗なぼかしにならないので、刷毛はそのつど水で洗います。


水にドッとつけて洗うと毛の中の染料の残りが刷毛全体に回ってしまうので要注意。
筆洗の縁を利用して、刷毛をしごきながら洗うのです。


すると、余分な染料が毛の尖った方から直接筆洗の中に落ちていきます。
染料のついていない側が汚れずに洗えるのです。
生地にぼかす以前に、染料が刷毛の毛にある時点で、すでに濃淡がついている訳です。尖った方が濃く。
片歯刷毛も色別に揃えてレッツ染め。


前回紹介したように、大輪の花の場合は一輪を何回かに分けて染めます。




全体のイメージでは「赤いバラ」ですが、模様ですから、着た時に綺麗に見えることが第一。バラによって赤の種類や濃さを変え、白(ごふん)も使って豪華に。



作業机での写真では電灯のために赤の部分が朱色がかって見えます。


色は太陽光で見た場合が基準。色を作る時や色挿しに最中にも幾度も太陽光の明るい窓際で色合いを確認しながら進めます。


太陽光のもとでは赤は紅色がかっているのをご覧いただけるでしょうか。こちらが本当の色。
今回は上下で色、模様が異なる着物の色挿しです。裾模様の青や紫の強さとのバランスも見ながらバラの赤を決めていきます。
このあと葉とツルを染めます。色挿しも終盤へ。続きは次回に。

ぼかし屋の染め風景 | 11:26 PM | comments (x) | trackback (x)
東京手描き友禅の染め工程の中で、一番映える花形工程が模様の色挿しです。
今回は先方のご希望で上半身は赤い大輪のバラだけ。裾模様が緑や紫を主体にしたカンパニュラの模様だったのとは対照的で、振袖でなければ実現できない柄行きです。



紅色系、朱色系、その中間と3通りの赤にそれぞれ濃淡を3段階と極薄いピンクも準備。濃淡ぼかしするためです。


色挿し方法に決まりはなく制作する人それぞれに流儀もあります。
ぼかし屋ではこのような大輪の花の場合は、花びら一枚ずつぼかしていきます。



身頃の部分を作業机に並べ、左右を確認します。色がつながっているか、全体としてバランスがよい濃淡になっているか。3種類の赤の色合いの配置もバランスよく!
交通安全ではありませんが、「指さし確認」しています。



この写真では、生地の端(伸子で張られた部分の上下)が巻き込んであるのがご覧になれます。
着物の身頃の生地は足首から肩を越え、また足首を覆う位置まで一つながりで、おはしょり部分も含め3m以上。長~いのです。円滑に作業を進めるために、「今は染めない部分」は巻き取って留めておくのです。
こんなふうに。


巻いて洗濯挟みで留めます。糸目糊がよく見えています。


 裏からみるとこんな感じ。色挿しが済んでいる部分は裏から見ても同じ色が染み出ています。手作業で色挿しした証拠です。


巻き込み部分を晒や手拭いでカバーしてあります。これは作業中に染料が飛ぶなど汚れがつくのを防ぐためです。


生地がコンパクトになって伸子を持ちやすく、この状態で色挿し作業するのが理想です。ただ色が乾いていない、色を見ながら作業する必要があるなど、長い生地を引きずるように作業する場合もあります。


ほら、上の方が伸子に張られていますが、下の方は伸ばしたまま。この写真の場合は色合いの確認が必要で伸ばしたままとなっています。
そうそう、赤い色がついた部分にビニールが貼られているのにお気付きでしょうか。染料は乾いただけで蒸していない時は生地に定着していません。擦れて他の部分に染料が移るのを防ぐためです。
色を塗るだけでなく、アレしたり、コレしたり。
色々忙しく色挿します(^^;)


ぼかし屋の染め風景 | 06:46 PM | comments (x) | trackback (x)

モナコ公国の手描友禅振袖を製作するにあたり、国旗の赤白の色で地色とすることと、模様としてバラ、カンパニュラ、それに王宮を描くことというご希望がありました。
ネット検索やモナコを取り上げたテレビの画像や本で王宮の形と立地を調べて今回の図案の参考にしました。

一番よく見かけた角度で撮影された王宮の写真はこちら。


断崖と言っていいほどの急斜面の上にある平地を利用してお城が作られています。中世以来の歴史あるお城だそうです。単なる王宮ではなく要塞としての機能のあるお城のようですね。

崖の手前が森であることを利用して、振袖の裾模様は手前にカンパニュラの群生、その向こうに森と遠景にモナコの王宮を描きました。


本物の色は参考にしますが、あくまでも着物の模様なので綺麗に見える範囲の色を使います。



写真を見ると屋根に赤が使われていまして、模様の色合いとして貴重です。

最後の仕上げで王宮には銀彩も使うので、その点も考慮した色挿しです。

途中で生地を横に並べ、全体の色の調子を確認しながら進めます。


裏から見ると糸目糊が見えないので、出来上がりの感じを掴みやすいので、折々裏返して確認します。
対角線に張った竹製の太い伸子を模様伸子(もようしんし)と呼びます。

横に張った伸子は細いので伸子針(しんしばり)とも呼びます。どちらも広く伸子(しんし)です。

生地は長く、真ん中の赤い部分は上半身になります。


色挿し作業の間も赤地の上半身は衣桁などに掛けておきます。生地が傷まないよう、別の色で汚さないよう、アレコレ気にしながらの色挿しです。



王宮の向こうにさらに岩山があります。モナコではとても目立つコブが連なった岩山だそうです。


王宮の色挿し終了(‘◇’)ゞ


次はいよいよ地色が赤い上半身、生地の真ん中の部分、衿、肩、袖へ進みます。


ぼかし屋の染め風景 | 06:23 PM | comments (x) | trackback (x)
前回はカンパニュラの花を青紫色に色挿しする様子をご紹介しました。
今度は葉っぱの色挿しです。


なぜ、色を全部準備して花も葉も他の部分も同時に作業を進めないの?とお思いになる方もいらっしゃることでしょう。それは、無理だから、なのです(^^;)

濃淡ぼかしで多数色を常に使うため、花だけ葉っぱだけに分けてさえ、机の上は10~20色の染料でいっぱいになります。それぞれ乾燥しないように濃度を維持して染めるには、図柄を区切りよく何段階かに分けて作業するのが現実的なのです。

柄の多い振袖はなおさら段階が多くなります。
モナコ公国振袖の場合、①カンパニュラの背景の森、②花、③葉、④背景の王宮、⑤上半身のバラ、⑥葉、⑦ツタ模様と7段階に分けました。


さて色挿し③にあたる葉の番。緑を濃淡で色挿しします。
手前にあるのは色見本。結構色数がありますね。

森の色挿しに使った柔らかい黄味のある緑に比べ、今回はきっぱりと強く青味の緑。
カンパニュラの花が青紫系の色合いなので、緑も青になじむ色目なのです。
青と緑の境のような色味を主体にします。


色見本と一緒に写してみました。
花と葉、両方の色見本です。並べても相性が良いのはどちらも青が主だから。


花だけだったところに、葉にも色が入ると生きてきます。
背景の森と手前の葉っぱの色を、森は黄系、葉は青系にしたことで、手前が埋没するのを防いでくれています。


裾模様の花にすべて葉と茎がつき存在感がでましたね!


群生するカンパニュラの向こうに王宮が見える図案
次はこの遠景の色挿しに進みます。

ぼかし屋の染め風景 | 11:11 PM | comments (x) | trackback (x)
東京手描き友禅として、いよいよ一番華やかな工程、花模様の色挿しです。
ここまで来るのは長かったですね!


まず染料の準備。裾模様は群生するカンパニュラの向こうにお城が見えている図柄です。


色は濃い青から青味の紫、紫と青い染料の量を調整して三段階、それぞれに濃淡3段階、一番弱い淡色紫まで用意。
カンパニュラはキキョウの仲間で、色々な形があるようですが、振袖の模様の効果を考えて、一番見栄えのする大型のキキョウ型にしました。
広い花弁でぼかし効果狙いです。


長い生地を模様伸子(もようしんし)に張って作業していきます。

ちょっと細かく紹介しますと……


振袖が出来上がった時に三種類の青紫がバランス良く散るように、どの花をどの青紫にするか、先に決めて青花ペンで印をしておきます。ズームで糸目糊がよ~く見えてます(^^)



大きな花弁を一番の濃色から白に近い淡色までぼかすには一度では綺麗に上がりません。複数回に分けて重ね塗りします。最後に一番濃くなる所に先に色をいれておきます。


乾いたら染料を重ねてまたぼかしていくのです。




完全な乾燥ではなく理想は生乾き。机下の電熱器が活躍します。この花が乾くまでに別の花をぼかして、というように順を追って作業していきます。



同じ面を連続でご覧いただいていますが、だんだんと濃淡がついてメリハリあるカンパニュラになっていきます。

上の花は染料が乾いています。
下の花はまだ濡れていて色が発色せず、よどんで見えますね。



さらに染料を挿して、濃淡の差を強くしていきます。


花芯はまた後でごふんの白を挿しますが、まわりの紫色でだいぶ花芯も際立ってきました。


最後に縫い目を境に色や濃淡の具合がきちんとつながったか、色を間違えなかったか、確認しているところです。


模様のぼかしの方法は特に決まりはなく、製作者によって好みの方法もありますので、この手順がすべてではありませんが、水の力を借りて染料をぼかす点はすべての友禅染に共通です。


ぼかし屋の染め風景 | 07:43 PM | comments (x) | trackback (x)
地色を染めて白く残した模様部分を彩色することを「色挿し」と言います。
友禅挿し」とも。故早坂師匠は「友禅する」という動詞も使っていました。
さてその準備
は当然ですが、染料匙、水分調整に使うスポイド、均染剤や粘剤、皿などなど。


まず粉末の染料を煮溶かして、色を掛け合わせ、調整して希望の色を作ります。


手元の粉末染料。師匠以来のものもあれば最近購入した色も。
材料屋さんによって色味が違います。

原色の粉末染料を煮て希望する色の濃色を作ります。

これを基本にして水で薄めれば淡色になり、他の色を微妙にかけ合わせて少しだけ違う色も作れます。



友禅の作業机に開けてある穴は便利で煮炊きもできるというわけです。

振袖は色挿しに長い日数がかかるので、水分蒸発など変色を避けるために、出来上がった基本の濃色(液体)はボトルや小さなタッパーに入れて保管しながら使います。


染料は染料皿に出すとすぐ水分が蒸発し始め、色が濃くなり始めます。スポイドは染料皿に水を足しながら作業するためのものです。最初から最後まで同じ濃度で予定した色合いを保つように。

どんな手順で色挿しするか、全体プランをたて、今回の振袖の色挿しは、最初に裾模様の森の部分から入ります。


裾の背景となる森は黄ばみの強い緑系。


木々が濃色から淡色へ。ぼかし作業。


色を作るときに使った色試し布と一緒に。
模様が絵羽になるように、左右を確かめながら色挿ししていきます。


上半身の赤い部分も写っていますね。
着物は長~い反物を染めて作ります。染めている最中も長~いのです(^^;)

ここでひとつ重要な脇役を紹介します。
作業机には穴が開いていて、下にニクロム電熱器があります。


生地に熱をあてて、乾かしながら染めることで、糸目糊の外に染料が浸みださないようにするためです。ぼかす作業も熱に当てながらの方が濃淡差が付けやすく綺麗に上がります。

さて一般家庭では見かけない機械が!

机の下に置いた変圧器です。
電熱器に100%で通電するとニクロム線が赤くなり、かなりの熱量になります。それでは乾きが速すぎますし、第一生地が焦げてしまいます(>_<)
そこで変圧器を通して電圧を下げ、低めの熱さが保たれるようにするのです。温度に決まりはなく、染める人の好みと季節にもよります。
粉末染料を煮溶かす時は、それよりも熱めに調整します。
ニクロム電熱器変圧器も今となってはそうそう売っていません。貴重なアナログの道具なのです。


ぼかし屋の染め風景 | 10:01 PM | comments (x) | trackback (x)
模様が入る部分を糊で伏せ、地色の染料を刷毛で染め終わりますと、


このように地(模様の背景)の部分だけでなく、伏せ糊の上にも染料がついて、あまりキレイとは言えない状況です。
フノリと染料でゴワゴワ、お煎餅のように硬くなった伏せ糊がのさばり、伸子針(しんしばり)の跡もツンツン出っ張り、生地はまるで嵐をくぐったご苦労様な状態です。

この後、塗った染料を生地に(糸の奥深くまで)定着させるために「蒸し」という作業があります。大きな窯に生地を吊るして水蒸気で蒸すのです。
その後、水洗いして伏せ糊を洗い流すと、模様部分が白く、染料が付かずに残るわけです。
この「蒸し」と「水もと」は京都の丸京染色さんにお願いしております。


まずはこの生地を京都に送る準備です。
生地を張り手から外し、剥ぎ合せミシンを使って一つの反物状に縫いつなげます。
間に紙を挿みながら巻き取り、巨大な海苔巻きにして宅急便で京都へ。

実はこのあたりの写真がありません。作業の記録として写すという発想が足りなかったり、うっかり忘れたり。記録するというのは一仕事だと思った次第。

そして!京都から帰ってきましたよ!すっかりキレイな反物に戻って。
(保護のために薄いビニールを被っております)


模様部分が白く残っているでしょう?
この部分に色挿しして模様を彩色していくのですが、まず先にキチンと地染めできたか着物状に並べて確認します。
ぼかしのラインが絵羽になっているか
(縫い目を境にズレたりしていないか、ちゃんとつながったか
縫い目を境に色の濃度が違ったりしていないか。


胸元の上前は大丈夫。


下前はぼかしのラインが湾曲しているので一番ハラハラ。


裾模様の空にあたる水色のぼかし。つながってます。


一直線に赤のぼかしが出る背の部分。大丈夫。


仕立てる時に縫い目にあたる部分に青花で線を書きました。右が胸、左が袖となります。
縫い線をはさんで模様がつながり、赤の色合いも同じように発色したことを確認。発色具合が違うと色の手直しが必要になるところです。

モナコ公国の振袖の場合、赤と白で上下を染め分けた国旗のイメージを保つため、赤は国旗と同じ赤色でというご希望でした。
日本伝統の赤は少し朱色によっていますが、紅系の染料を加えて調整した「真っ赤っか」蒸しのお陰でハッキリした赤に発色してくれました。ホッ(*^^)v

この写真は染め上がりの生地の白と赤の部分を合わせて国旗風に撮影したものです。


友禅の引き染めによるモナコ公国の国旗です(‘◇’)ゞ


ぼかし屋の染め風景 | 10:19 PM | comments (x) | trackback (x)

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