モナコ公国の手描友禅振袖 制作風景 19 仕上げの金彩

 
モナコ公国の手描友禅振袖 制作風景 19 仕上げの金彩

丸京染色さんの作業のために剥ぎ合せミシンで生地をつなぎ合せて一反の長い生地に戻して京都へ行った生地。糊を落として湯のしも済み、ピシッときれいな反物に戻った生地が京都から戻ってきました。


今度は解いて着物の形の各パーツの生地へとバラします。並べて位置関係を確認しながら、どの程度の金彩をほどこすか決めます。


くすんでいる糸目糊がとれて、湯のしで生地の光沢が戻り、とても華やか!
金彩の仕上げはいつも行うわけではなく、着物の用途や色調によります。当然今回は派手めに。

金彩と一口に言いますが、金色を使う仕上げ彩色のこと。金色や銀色の粉を顔料や接着用材と混ぜ、マスキング用のフィルムや刷毛、筆を利用して生地に彩色するのです。手描き友禅の最後のお化粧といったところです。


左端に写っているのはマスキングフィルムカット用の道具。カッターの刃に電熱が通り、フィルムだけが切れて生地には影響しない程度の電熱が通り、熱さを利用して絹の上に張ったフィルムを模様の形に切り抜くことが出来ます。

このカットの作業を、私の師匠であった早坂優先生は、熱を使わず刃を直接フィルムに当てて、指の加減だけで切り抜いていました。すぐ下に絹生地があるのにですよ!
「修行時代には電熱カッターなんて無かったからね」とおっしゃっていたものです。
私はとても真似できません。専用の道具に頼っております。
師匠が今もお元気だったらな、と思うことは多いです。

生地にフィルムを貼って


模様に沿って切り抜き


銀色の粉を刷毛ぼかし

済んだら、フィルムを剥がします。銀色の吹雪をアクセントにしました。

金や銀も色の具合は色々。自分で調合します。


このままでも綺麗ですが、


華やかなバラのアクセントには、やはり光の強い金色で、花びらのうち、強く見せたいところに筆描きで金線を加えます。

立体感が出て、強い印象になります。
(金彩の方法は製作者により様々です)

彩色したところが乾くまで少々時間がかかります。
衣桁も動員して部屋中に広げながら作業します。華やか~な室内となります。



ぼかし屋の染め風景 | 10:58 PM | comments (x) | trackback (x)

ページのトップへ