モナコ公国の手描友禅振袖 制作風景 21 仕上げの「湯のし」

 
さて刺繍が済み、すべての染色作業が終了しますと、最後の工程は仕上げの「湯のし」
東京手描友禅の本拠地である高田馬場の湯のし屋さん、吉澤湯のしさんにお願いしました。
金彩仕上げで使う顔料の水分は生地を歪めます。それに刷毛で擦ったり、刺繍屋さんで枠に張られたりしたことでも生じた歪みもあります。これを、蒸気を当てて矯正してもらうのです。


大きな専用の機械。ドラムからモクモクと蒸気があがります。


ゆっくり回るドラムの端には細かい針がついていて、生地の端を咬ませて回転させることで、生地が順に蒸気をくぐっていく仕組み。


白生地をして織り上がった時の生地の状態に戻してくださる技術で、これが本当の手加減。
手描き友禅だけでなく、着物の染めには不可欠な工程です。

湯のしが済んで、出来上がりの反物になりました。


最初に生地屋さんから届いた時の白生地はこちらでした。


同じ生地が、色と模様がついて着物生地となったわけです。
ビフォーアフターをアップでご覧ください。



刺繍や金彩が傷まないように紙やビニールをはさんで巻き取っているので、こう見ると海苔巻きのようですが、織り、染め、刺繍のカタマリです(‘◇’)ゞ


東京オリンピック関連して企画された、全出場国をテーマにした振袖を伝統技法で制作するというプロジェクト。東京都工芸染色協同組合を通じて参加、ぼかし屋はモナコ公国をテーマにした振袖を担当いたしました。たいへん勉強になる貴重な機会をいただき、関係者の皆さまに深く感謝しております。ありがとうございました。
次回ブログは周辺話題を少々(^^)/

ぼかし屋の染め風景 | 12:06 PM | comments (x) | trackback (x)

ページのトップへ