モナコ公国の手描友禅振袖 制作風景 ⑯ 最後の色挿し

 
モナコ公国をテーマにした手描き友禅の振袖の制作工程を少しずつ紹介してまいりました。たくさんの工程のうち、花形は模様に色を挿すところ。その色挿しの紹介も今回が最後となります。
振袖は袖だけで普通の訪問着一着に相当するほどの模様量があります。
振袖の色挿しとは、始める時は「どうなることやら」と思い、ひたすら作業を続け、途中では「明けない夜はない」と自分を励ましながら、終わりが近づくと淋しくなる、ものです。


裾模様、上半身のバラと進み、残るはバラの葉とアクセントで描いたツタ状の模様を残すのみ。
染料皿の数もぐっと減り、机の上もサッパリしています。


このように巻いてはずらせて模様伸子に張りながら作業します。


緑やグレーが入るので全体が落ち着きます。
染料が乾いたら、またずらせて張り、
また色挿しを繰り返すのです。


生地の下の端にあて布がついています。地色の赤を引き染めした時の刷毛の跡がよく見えております。模様伸子で強く引っ張られる力を、あて布が分散してくれる役目もあります。


染めてはずらすので、東京手描き友禅では作業机の上はこんな風景ですが、京都では室内に柱を立て、ローラーを組み、生地をクルクルをずらせて染めることが多いそうです。便利だなと思いますが、東京流にも大きな利点があります。


このように染めの途中でも、気軽に模様伸子に張ったままで並べられるので、模様がつながっているかどうか、配色のバランスがよいかどうか確認しやすいのです。
いよいよ長かった色挿し工程が終わります。

ぼかし屋の染め風景 | 10:23 PM | comments (x) | trackback (x)

ページのトップへ