2022年07月

 
 
都心のまん真ん中、地下鉄東西線の竹橋駅3a出口すぐの商社、丸紅ビルの3階に美術ギャラリーがあります。コレクションは主に江戸時代の貴重な着物たち。


竹橋駅ホームの案内。左端上にボッティチェリ。すごい所蔵品ですね!

この丸紅ギャラリーで6月から所蔵着物を紹介する展示が行われています。行ってきました。
ビジネス街の商社ビルなので一瞬入っていいのかな?という感じでしたが、3階へ直通エレベーターがあり助かりました(^^;)
1858年創業の丸紅は大阪京都で呉服を商っておられたとか。技術的に大変優れた着物のコレクションでした。
お勧めのいの一番はこちら。(写真は図録より)


染分 綸子地 松皮菱 梅樹模様 振袖
意味は→ 綸子の生地に松皮菱の形を赤青を染め分け、白地には梅の木を配した模様の振袖。


解説によれば赤は紅、青は藍。大きな松皮菱の中は鹿の子絞りです。
本物を見ますと鹿の子絞り独特の角(布を摘まんで糸で絞った跡)が今もツンツンしていました。


絞り染めでこのように広く白地(紅や藍の染料に漬からない部分)を残せるというのは大変な技術です。梅の花だけは色を入れた絞りで枝や蕾は刺繍です。
江戸時代1700年代前期の作だそうです。贅沢な一品ですね。


 濃緑 縮緬地 梅樹滝模様 小袖
江戸時代1700年代前期の作。1600年代終わり頃に完成したといわれている友禅染の技術。その初期のお手本のような小袖ですね。線描きした糊で防染し花びらを濃淡染め分けしています。

梅のシルエットや扇の形、滝も糊防染。防染していないところに刷毛で濃い緑を引き染めしています。


 納戸 縮緬地 秋草蝶模様 振袖

こちらは同じ1700年代でも後期の作。とても粋な柄行きです。
線描きした糊(糸目糊)で白い線が紺色に浮き上がっています。


線で秋草の流れを作っています。白抜きのままの花も多く、くどくど色を付けない大人っぽい振袖ですね。

もう一つ白抜きを多用した作がこちら。


 鼠縮緬地石橋模様振袖
こちらの色の部分は刺繍ですが、牡丹のほとんど、流水すべてが糊防染での白地残し(白抜き)で表現しています。


最後はこちら。

 藤鼠縮緬地流水草木風景模様振袖
解説に1937年京友禅の名工、中川華邨の作とあります。

今の京友禅は艶やかな色合いを塗り切る(舞妓さんの着物のように)ことが多いようですが、戦前のこの作品は中間色に濃淡ぼかしを多用した糸目友禅です。素晴らしい!!




こんな美しい糸目の松の表現は見た事がありませんでした。お手本にしなければ。

この展示は8月1日まで。駅近でなおかつ!大手町の大規模ワクチン接種会場のすぐ近くです。

展覧会ルポ | 05:18 PM | comments (x) | trackback (x)
 

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