2016,08,03, Wednesday
手描の友禅染の制作に欠かせない材料は色々。その中に下絵を生地に描く時に使う専用の青い染料、青花(アオバナ)があります。
先月NHKテレビで、生産農家が青花を作るところが紹介されていました。
普通はまず見る機会のない映像が流れ、
長らく使ってきた青花がどのように生まれるのか、初めて知りました。
たいへん貴重なので映像をお借りして、
私自身の勉強を兼ね、このブログに内容をまとめたいと思います。
※画像はNHKBS ニッポンの里山「あおばなの咲く田んぼ」滋賀県草津市 より
青花(あおばな)はツユクサの仲間、オオボウシバナから作られるそうです。
ツユクサを品種改良して作り出された大きめの花で、直径は6㎝ほどもあるそうです。
摘み取り作業
夏の午前中に(午後にはしおれてしまうので)
雌蕊を残し花弁だけを摘み取るそうです。
それを練り、何度も布でギュッと漉し、何も添加せずに花100%の青花汁を作り、
和紙に塗り付けます。
液体のまま時間が経つと青色が変色するので、
和紙に含ませ乾燥した状態にしないと保全がきかないそうです。
和紙を乾かして、さらに青花汁を塗る作業を繰り返して、
和紙の重さから3倍程度になるまで青花を含ませて出来上がるそうです。
友禅染をする者が手にする青花は、材料屋さんの店頭で、海苔のような形で一枚ずつ売られているもので、青花紙とも呼びます。
商品として材料屋さんの店頭に来るまで、これほど大変な作業を農家の方がして下さっているとは知りませんでした。着物需要の低下に伴い、青花の生産が減って、扱う材料屋さんも減り、価格も高くなっています。ですが、このご苦労を知ったからには今後お値段に不満は言いますまい!
貴重な材料ですから、買ったらすぐ冷蔵庫で保管します。色の劣化や、カビを防ぐためです。添加物ゼロなら当然だったのですね。
青花紙は使う分だけ切り取り、水を含ませ液状にして下絵描きに使います。
誂え染めの場合、白い絹地に青で描かれた下絵をお客様に見ていただくことになります。 下絵は「新花」という化学反応を利用したものでも描くことが出来ますが、黒っぽい色でしかも退色しやすくお客様にご覧いただくには、青花の方が向いています。
糸目糊が済んだ生地を水に浸し、下絵の青花を落としているところ。
青花は水ではかなく流れ去ってしまいます。(だから下絵用に使われているのですが)
こんな作業をしてくれる農家はもう僅かだそうです。
番組で紹介されていたのは中村重男さん。
技術を絶やさないために地元の高校生が学んでくれているそうです。
滋賀県草津市の青花農家の皆様、手描き友禅のためにどうぞこれからも青花紙の生産をよろしくお願い申し上げます。無くなったら困ります~~。<m(__)m> <br />
青花は田んぼのすぐ近く、こんな田園風営の中で生産されるそうです。
稲穂の間にサギが見えますよ。背丈からダイサギでしょうか。
サギがいるということはドジョウなど餌となる生き物がたくさんいる田んぼだということですね。
本当に美しい映像を見せていただきました。
東京手描友禅の道具・作業 | 11:35 PM | comments (x) | trackback (x)