2022,12,22, Thursday
東京手描き友禅は誂え染めなので、お客様ごとに図案を描き、それを生地に写し取ってから糸目糊置き、色挿しへと進みます。図案を生地に写し取る時に使うのは図案台とか図案机、図案トレース机などと呼ばれる作業台です。
ぼかし屋ではこれまで主に友禅の染め作業机で兼用してきました。
こんなふうに。
友禅作業机はとても大きいので生地も図案も動かしやすく、照明の上へ移動させやすい利点があるのです。
でもガラス面の大きさに惹かれ、今年は思い切って専用台を購入しました。
専用台は注文が入ってから材料屋さんが家具屋さんに依頼して作ってもらうので、待つこと1か月ほど。注文した京都の材料屋の田中直さんから大きな箱入りで届いたところ。
届いた梱包を開けて驚いたことに、フワ~ンと立ち上る強い木の香り。想像していたより立派な木です!節も見あたらず。
造り自体は単純なものなので、家具屋さんではなく、建具屋さん、もしかしたら製材所でも作れると思います。
端材には違いないでしょうが、きっちり製材された良質な木材なのに驚きました。杉か檜か?
台はこのまま使い始めてもよいのですが、これはもったいない、大切にしなくては!と思い立ち、白木の木材を柿渋で保護することにしました。
届いた白木の状態。ガラスをはめる内側の溝も本当にきっちり彫られています。正確で美しい。
柿渋塗りの前に目の細かいサンドペーパーで磨きます。
柿渋液 日曜大工用品のオンラインショップで購入。刷毛も忘れずに。
一回めを塗ります。裏面、側面のまんべんなく。
数日放置してから塗り重ねるのを3度繰り返し。
時間の経過と共に柿渋は濃く発色し、塗り上がり後も数か月かけて渋いミルクチョコレート色になっていきました。
最後の仕上げにBee’s Wax(蜂蜜を原料とする木製家具用のワックス)を塗り込みました。
木材に油分が加わることで耐久性が上がるそうです。ぼかし屋の大事な大事な和箪笥もこのワックスで磨いています。
時間をおいて布で乾拭きして磨き完了です。
天板に置くのはサイズを測って購入しておいた透明なアクリル板。
保護紙をずずいっと剥がしていくのがちょっとした快感でしたよ。
一度剥がせば二度と戻らぬ~♪ 最初の一階限りの作業ですから。
最後に台の天板に透明アクリル板を載せて完成。
下に電灯を置いて使用開始です。
もともと天板に載せるのはガラス板です。台の内側の溝にはめ込むように載せて使います。でもガラス板は大変重く取り外しも気軽に出来ないのがネック。広くはない作業部屋なので台を置いたままには出来ないからです。
アクリル板は厚さも長ささも希望通りにしやすく、ガラスより軽いので持ち運びしやすいのです。
描く位置によっては天板に私の体重がかかるので、台のサイズめいっぱいの大きさのアクリル板で覆うように使うことにしました。
アクリルの注意点は→ 可燃性!!下に置く照明は白熱灯禁止です。発熱しないタイプに限ります。
ご参考までに→ 木材には油分の補給が必要というお話。木工食器の職人さんに聞いたところではお椀やお盆といった食器類の場合はオリーブ油を塗り込むと良いそうです。いったんベタベタしますが、時間をおくと落ち着き、最後に布で仕上げ磨きすると木が生き返ります。
東京手描友禅の道具・作業 | 05:00 PM | comments (x) | trackback (x)