2014,11,23, Sunday
紹介 ― 京友禅の工程映像が見られる立命館大学の講座京都の伝統工芸、特に京友禅の現状などについてインターネット上で学べる講座が開講中なので紹介いたします。誰でもタダで受講できますが、れっきとした立命館大学の講座です。
J-MOOC(ジェイムーク)という大学講座受講システムをご存じでしょうか。
大学が授業をネットで公開して誰でも無料で受講するシステム(MOOC)は、アメリカの大学が始めたもので、例えばハーバード大学のサンデル教授の有名な授業「Justice」も公開され受講後の試験に合格すると修了証も取得できます。その日本版がJ-MOOC。今はかなり多くの大学が特色ある講座を公開しています。
受講態度はそれぞれのニーズに応じて。私は文系人間なので歴史や芸術系の講座をとって、ラジオ替わりに聞いています。修了証不要なので興味ある所だけ。
今回は友禅染めが扱われる講座だったので受講してみました。分業で制作される京友禅は、主に一人の制作者による一貫作業で染められる東京手描き友禅とは成り立ちの違いはありますが、作業内容は同じ。置かれた現状も同じなので皆様にも参考にしていただけそうです。
J-MOOCでは「よくわかる!iPS細胞」などの講座も今後開かれるそうです。興味ある講座をみつけると面白いですから、ぜひ一度検索して内容をご覧ください。
講義内容の吟味はそれぞれお任せするとして、ここでは検索方法を簡単にご案内します。
gaccoと入力して検索すると
gacco The Japan MOOC | 無料オンライン大学講座「gacco ...
が見つかりますのでクリックして入ります。
右上に「会員登録」の表示があります。Eメールアドレスを使ってユーザー登録します。
この画面下方に「歴史都市京都の文化、景観、伝統工芸」立命館大学という講座名が表示されています。
登録したら講座を選んで、いざ受講です。
京友禅について主に取り上げられているのは同講座のなかでも第四週の後半です。
「友禅を作る―染匠(悉皆屋)の仕事と職人 1,2」という講義です。
分業なので工程ごとに違う職人さんの作業で、友禅染め制作の主な工程(地染を除く)を動画でご覧になれます。
第三週でも京友禅や京焼など伝統工芸の戦時中の状況について取り上げられており、
一気にジャンプして興味ある講義だけ聞くこともできます。
第三、四週の講師は木立雅朗先生。
※ご覧になる方へ。2014年12月初めに終了する講座なので、早めの受講登録をお勧めします。各講座には新規受講登録の申し込み期間があり、期間を過ぎると受講できなくなります。
いったん登録してあれば受講に時間がかかっても大丈夫、それに何度でも聞くことができます。
※追加でコメント。 11/23
講師の木立先生は今回初めて京友禅の職人さんにお会いになったとのこと。「京町屋に住んでいて作務衣を着て友禅染をしていると予想していたら、ごく普通の洋風の家に住んで仕事をしていた。和風家屋でさえなかったので驚いた」と大変正直な感想を述べておられます。
これが東京ですと、「下町風の木造家屋でガラス引き戸をガラリと開けて入るような家に住む作務衣をきた寡黙な年配の職人さん、もちろん男性」というイメージを多くの方々がお持ちになっています。
この気持ちは私自身よく分かります。子供のころは私もそう思っておりましたので。(^^;)
実際には、木立先生が味わわれたように「あれ?イメージと違う…」ことになります。
住宅事情の厳しい東京では一戸建でさえない場合が多く、女性も多く、男性も実はあまり寡黙ではありません。むしろオシャベリタイプが多いのです!(*’▽’) 本当ですよ。
ぼかし屋のお客様にはご注文や相談のためにご訪問くださる方もいらっしゃいます。
大歓迎!(^^)!なのですが、必ず事前にご案内するのは「がっかりしないでくださいね。
どこにでもある集合住宅の一室なんです」皆様気にせずお越しくださるので本当に嬉しいです。
※さらに追加でコメント 12/10
この講座の工程映像には地染がなく、白地の着物なのがちょっと残念です。
京友禅の手描きを講座用に、一点物で創作してもらっている映像なので、せっかくですから地染も見たかったと思います。
映像では伊藤若冲のオシドリの絵を元に下絵を作成しているので絵画のように白地に描いた方がよいという判断だったのでしょうか。
裾模様の一番のポイントは普通は上前、膝あたりに置きますが、映像の着物では背にあります。着物の柄行きというよりは、若冲の絵画を着物上によみがえらせることを主眼に制作されたようなので、その点を含んでご覧いただくとよいと思います。
※追記 12/31
紹介したこのMOOCの講座の新規受講登録は終了しております。
また着物や染色、伝統工芸に関わる内容の講座が開設されたらお知らせいたします。(^^ゞ
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