2017,03,17, Friday
今年になってから江戸期の手描友禅をいくつか観る機会がありました。※東京国立博物館の常設展示より。撮影自由なのですが、ガラス越しなので反射が写っているものがありますが、ご容赦ください。
茶 平地 椿枝垂れ柳掛け軸模様 小袖(江戸時代18世紀)
解説によればこの友禅染小袖は、享保4年1719年発行の雛型(ファッションブック)で紹介されている柄と同じだそうです。背に掛け軸を模様においた独特な柄行き。雛型を見て誂え染めをしているので、制作年代がほぼ特定できる貴重な例とのこと。
300年も前の生地にしては色がかなりよく残っていました。素朴な平地に糊糸目がよく浮き出ています。少し色がはみ出しているあたりに親近感が持てました。
この時代は帯の幅が狭かったので背模様は見栄えがしたでしょう。
掛け軸の中は無線友禅で、他は糸目友禅で染められていました。
教養不足で掛け軸の意味が分かりません。(>_<)
男性が鹿と向かい合っていました。
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おそらく機知に富んだお洒落着だったのでしょう。
こちらは江戸といっても幕末期の振袖。
紺 平絹地 御簾檜扇模様 振袖 (江戸~明治期)
模様はたいへん細かく、ほぼ全身に御簾と檜扇が柄付けされています。
裾の朱色のフキがたっぷり厚く一寸はありましたから、婚礼に関連して使われるレベルの格式です。
幾何学模様の部分も型は使わず、すべて手描きの糸目友禅と見受けました。
細かい細かい仕事をセッセと正確にこなした職人さんに敬意!
こちらは袱紗。
お祝い物や献上品に掛けて使用した大判袱紗です。
金色の飾り縫い以外は友禅染。
解説によれば、目を引く水色は江戸時代後期に流行したプルシアンブルーだそうです。糸目糊の防染とぼかしを併用して水の流れを作っているのは今もよく使われる描き方です。青系の染料は退色しやすいのですが、この水色は他の色より鮮やかですね。
展覧会ルポ | 08:44 PM | comments (x) | trackback (x)