友禅染といえば花模様

 
友禅染、特に手描友禅の着物の場合、代表的模様と言えば何といっても花模様。
という訳で、折あれば季節の花は見るようにしています。忙しいのは春。桜は見逃せません。


千鳥ヶ淵の眺め

 今年は寒い時期が長く一気に暖かくなり各地で桜がいっせいに咲いたようです。毎年欠かさず千鳥ヶ淵で桜見物をいたします。写真は見学道の半ばくらいのものです。
 千鳥ヶ淵の桜が他と違う点は桜を立体的構図で見られることです。通常公園や野山で桜を見る場合は木を下から上へ見上げるようにして鑑賞しますが、千鳥ヶ淵は堀の両岸に植えられた桜なので、枝は上ばかりでなく堀下の水面に向かっても枝が広がっています。見学道から眺めると、視線を上に向けても下に向けても桜があるのです。さらに対岸にも桜があるため、遠近の桜が楽しめます。この桜の高低差と遠近感のおかげで千鳥ヶ淵の桜は豪華な眺めなになっているのです。
 今年は桜だけでなく、千鳥ヶ淵界隈でみられた他の花々も撮影してみました。


椿の花がまるで染模様のお手本のように綺麗に整った姿でした。


まだモクレンが残っていました。着物が柄になることは少ないのですが、ワイン色が艶やかでした。


シャガの花


千鳥ヶ淵の手前、牛ヶ淵の眺め。菜の花と雪柳が見えます。春ですねえ!

 近くの日本武道館で大学の卒業式があり、袴姿の女学生をたくさん観ることができました。入学式と重なると黒のスーツ姿ばかりですが、今年は運よく着物姿をたくさん見ることが出来ました。

 今年は神田川沿いの桜も楽しみました。
 高田馬場界隈の神田川沿いはもともと水を生かした染色業が盛んだったそうです。今も染色関連業の事業所が多く残っています。私の師匠の早坂染芸もそうです。
私が子供のころは(かなり昔ですが)神田川の水系は台風のたび、あちこちで洪水を起こしていました。私も昼間の台風で小学校から帰れなくなり水没した橋を父に背負われて渡って帰宅した記憶があります。
 今は浚渫や護岸工事が済み洪水の心配がなくなり、両岸の桜が成長してまずまずの眺めになってきました。昔に比べれば環境に気を使うようになったためか、皇居のお堀も神田川も河川全体の水質は良くなったのではないでしょうか。それこそ子供の頃は都内の川はどこもひどい有様でした。これからも少しずつでも美しい都市に近づいてほしいものです。
 残る大きな課題は日本橋ですね。高速道路が被っていないお江戸日本橋の風景を見てみたいものです。

季節の便り | 08:31 PM | comments (x) | trackback (x)

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