手描友禅の下絵描き

 
本日は下絵描き風景を紹介します。



誂え染めの手描き友禅では、まず白い絹地を裁って、白い着物の仮縫い状態にします。仮絵羽(かりえば)仕立てと呼びます。
模様が縫い目を境に途切れたりしないように、連続させて一枚の絵のように染め上げるためです。絵羽模様といいます。

複雑な模様では実物大で染め上がりと同じ下絵を紙に描き、それを生地に写しとります。



机の手前の台に乗っている部分は着物の上半身。絹が大漁、大量(‘◇’)

友禅の作業机は中央に四角い穴を開けてあります。


染める時はそこに熱源を置き、下絵描きの時は電灯を置いてガラスで塞ぎ、ガラスの上に下絵を、さらに生地をおけば、下から明るく照らされて模様を写しとりやすいのです。
以前は小さな電灯というと白熱灯しかなくて、夏などは暑い思いをしたものですが、今はLEDなど熱くならない電灯が色々あって助かります。

仮絵羽仕立てしてあると肩口など平に伸ばせない箇所があります。描きたい所を小さく延ばし文鎮でしっかり押さえて作業します。


遠目には刺繍枠をはめてあるように見えます。〇でなく□ですが。
もちろん刺繍枠ではなく文鎮で押さえているのです。

生地は2重3重になっていますから、半端な文鎮では押さえが効きません。
しっかり重く、かつ絹地のためには当りの優しい文鎮が貴重なのです。

これまでに知る限り、文鎮の最高峰富山県高岡市の金胎漆のもの。


金属に漆をかけてあるのでズッシリ重く、表面は柔らかく生地を傷める心配がありません。
漆に螺鈿細工が施されて綺麗で、文鎮の方も傷つけないように作業中は丁寧な動作を求められます(^-^;

 文鎮については2017年11/21の当ブログで詳しく紹介しています。

ぼかし屋の染め風景 | 06:57 PM | comments (x) | trackback (x)

ページのトップへ