2020,10,04, Sunday
東京手描き友禅として、いよいよ一番華やかな工程、花模様の色挿しです。ここまで来るのは長かったですね!
まず染料の準備。裾模様は群生するカンパニュラの向こうにお城が見えている図柄です。
色は濃い青から青味の紫、紫と青い染料の量を調整して三段階、それぞれに濃淡3段階、一番弱い淡色紫まで用意。
カンパニュラはキキョウの仲間で、色々な形があるようですが、振袖の模様の効果を考えて、一番見栄えのする大型のキキョウ型にしました。
広い花弁でぼかし効果狙いです。
長い生地を模様伸子(もようしんし)に張って作業していきます。
ちょっと細かく紹介しますと……
振袖が出来上がった時に三種類の青紫がバランス良く散るように、どの花をどの青紫にするか、先に決めて青花ペンで印をしておきます。ズームで糸目糊がよ~く見えてます(^^)
大きな花弁を一番の濃色から白に近い淡色までぼかすには一度では綺麗に上がりません。複数回に分けて重ね塗りします。最後に一番濃くなる所に先に色をいれておきます。
乾いたら染料を重ねてまたぼかしていくのです。
完全な乾燥ではなく理想は生乾き。机下の電熱器が活躍します。この花が乾くまでに別の花をぼかして、というように順を追って作業していきます。
同じ面を連続でご覧いただいていますが、だんだんと濃淡がついてメリハリあるカンパニュラになっていきます。
上の花は染料が乾いています。
下の花はまだ濡れていて色が発色せず、よどんで見えますね。
さらに染料を挿して、濃淡の差を強くしていきます。
花芯はまた後でごふんの白を挿しますが、まわりの紫色でだいぶ花芯も際立ってきました。
最後に縫い目を境に色や濃淡の具合がきちんとつながったか、色を間違えなかったか、確認しているところです。
模様のぼかしの方法は特に決まりはなく、製作者によって好みの方法もありますので、この手順がすべてではありませんが、水の力を借りて染料をぼかす点はすべての友禅染に共通です。
ぼかし屋の染め風景 | 07:43 PM | comments (x) | trackback (x)