友禅染め道具の手入れ(伸子針の色抜き)

 
今日は手描き友禅に欠かせない道具の手入れをしました。
伸子針の色抜きです。伸子針(しんしばり)というのは、


このように地色を引き染めするにも


模様の色挿しをするにも、は生地をピンと張る必要があります。欠かせないのが伸子針で、竹の先端に金属針を打ってある棒針です。
生地を横糸にそって横断するように端と橋に金属針をかけて、生地を突っ張らせる感じです。


染めが終わると染料がついてこんな状態。このまま白い生地に使えばどうなるか。赤や青の染料で汚れてしまいます。
次回の使用に備えて染料を煮洗いして落とすのです。


方法は一つではありませんが、ぼかし屋では大きなホーロー鍋で ハイドロコンクという粉末の抜染剤を入れて煮落とします。


グラグラ煮ています。
針の上下を入れ替えながら。竹も熱くなっているので軍手が欠かせません。


色が抜けたら、今度は水洗い。ハイドロコンクの成分が竹に残らないように。


水切りして日当たり良いところで二三日かけて完全に乾燥させます。
湿気が残っていると保管中に竹にカビがつく心配があります。


綺麗になりました。次の染めへスタンバイです。

ちなみにこの伸子針。自然の竹で職人さんが作ってくださるものなので、一本一本の太さが微妙に違っています。
染めの作業をしていると、その時々によって、生地が含んだ水分の具合が変わり、すると生地の横幅に違いがでることがよくあります。針をうっても今一つピンとしない事や、逆に張り過ぎて生地が痛がっているような場合があるのです。
そこで竹ごとの太さの違いを利用して、適切な針に差し替えて、ピン!の張り具合が生地と染め作業にとって丁度よいように調節できるのです。
竹の伸子と違って染料が浸みこまないグラスファイバー製の伸子針もあるのですが、ぼかし屋では竹一辺倒です。
竹ですから何度も使えば折れることもあり消耗品なのですが、これからも作って下さる職人さん、よろしくお願いいたします。


東京手描友禅の道具・作業 | 02:59 PM | comments (x) | trackback (x)

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