2013,09,16, Monday
東京手描き友禅(無線友禅)の参考に。安野光雅さんの「御所の花」展高島屋東京店で開催された「御所の花」展を観てきました。
絵本など様々な分野で有名な安野光雅さんが皇居に咲く武蔵野の花々を描いた展覧会です。さぞかし綺麗な水彩画だろうという期待そのままに色の濃淡、陰影の美しい優しい色合いの作品を拝見できました。
8/27付 朝日新聞より
桔梗の作品が大きく取り上げられています。このまま無線友禅(糸目糊の防染をせず水彩画のように描く東京手描き友禅の技法の一つ)になりそうでした。
記事によれば、今回描いた作品中で安野光雅さんご自身、一番のお気に入りは「ホタルブクロ」だそうです。私にとってもホタルブクロは育った武蔵野台地の林、藪、野原の記憶に結びついています。
図録より。「ホタルブクロ」 隣のページは「アジサイ」
私は「隣のトトロ」の主人公の妹役メイちゃんに、さらに小さい妹がいたら私の年恰好だと思っておりまして、「隣のトトロ」よりは宅地開発が進みだした武蔵野の野原(のっぱら)で、幼稚園から小学生にかけて、遊び呆けて育ちました。その頃ホタルブクロとカラスウリの二つは 「なかなか見つけられない宝」でした。
ひょんな拍子にふと足元の一群れのホタルブクロに気付いたりすると子供同士でそうっと触り、「他の人には教えないことにしようね」なんて!子供って面白いですね。あの秘密感覚は何だったのでしょう。手折って持ち帰るという発想はまったくありませんでした。懐かしい…
ホタルブクロの隣のページは、これも私の好きな紫陽花です。
このブログでも取り上げております。https://www.bokashiya.com/blog/e23.html
ちなみに紫陽花を好きになったのは大人になってからでした。
せっかくなので「カラスウリ」のページもご覧ください。
「カラスウリ」 隣のパージは「桔梗」
カラスウリもなかなか見られない秋の実でした。たまに見つけても必ずといってよいほど手の届かない場所にありました。子供の目には本当に遠い宝でした。
もう一つ懐かしい花の絵がありました。
「カタクリ」 隣のページは「カリン」
カタクリの花は私の子供時代の記憶にはないのですが、手描き友禅の仕事を始めてから「カタクリ」を描いた訪問着をご注文いただいたことがあるのです。その時に色々調べてその可愛らしさを知るにつけ、こういう足元に咲く一見地味な花を愛でるお客様のお人柄も見習いたいものだと思ったのでした。
当時は記録を残すことの必要性をまったく理解していなかったので、何の写真も残っていないのですが、その時の訪問着とお客様を折々懐かしく思い出しております。
カタクリの花は子供が簡単には踏み込めない林の奥にあったのでしょうね。
展覧会ルポ | 12:57 PM | comments (x) | trackback (x)