2015,08,30, Sunday
東京手描友禅の道具、伸子(しんし)着物生地に手描きで染付けする作業に欠かせない道具に伸子があります。「しんし」と読みます。生地に模様を筆描きする時や、手描き友禅用の糸目糊置き、伏糊置きをする時に、長い生地の一部だけ(作業したい部分)をピンと張るのに使うものです。
伸子には、長くてサイズが色々ある模様伸子(もようしんし)と、基本的に反物の横幅を張るサイズの伸子針(しんしばり)の二種類あります。
作業中の写真をご覧ください。
見頃一本の裾模様二か所を伸子で張っているところ。作業する面と裏側と。
生地を対角線に大きく張っているのが模様伸子。
×に交差した部分を左手で持って作業します。
生地の横幅を等間隔で張っているのが伸子針。
どちらも先端に針がついていて、その針を生地に挿して張るのです。
伸子針は地色を引き染めする時も使います。
引き染めをすると伸子針の先端部分(針の根元)が染料で汚れます。
繰り返し使用するために汚れるつど色抜きします。たとえば緑の染料が付いたまま次の白生地に針を使うと、生地の端に緑色がポチポチと針から染み付いてしまうのです。
色抜き剤をいれた湯に伸子針を入れてグラグラ煮て色抜きします。
色抜きと同時に、熱い湯のおかげで曲がった伸子針がまっすぐに戻ります。
竹って大したものです。もう四半世紀以上前から使っている伸子も現役なのですから。
何度でもまっすぐに戻り、生地をピンと張ってくれるのです。
色抜きしたら、色抜剤が残らないよう伸子針をザクザク水洗いして、
三日ほど乾かして出来上がりです。作業に欠かせない金盥と軍手も一緒に写しました。
みんな友禅の縁の下の力持ちたちです。
東京手描友禅の道具・作業 | 12:49 AM | comments (x) | trackback (x)