2016,02,07, Sunday
前回に続き、創作一点物の友禅染作業風景をご紹介します。今回は「色挿し」。色挿しの途中(糸目糊が見えます)
「色挿し」は、下絵の上に糸目糊を置いた模様部分に色付けする工程です。「模様挿し」ともいいます。「友禅する」という動詞を使うこともあれば、「友禅挿し」と呼ぶこともあり、そこから分かるように長い工程の中でも「色挿し」は一番友禅染らしい作業です。
何色も染料を作って筆や片歯刷毛で挿していくので、なかなか華やぎもあります。
でもちょっと大変なことも。
水と染料(粉末)を煮て液状の染料を必要な色数作り、皿にいれて使います。
染料は時間経過とともにどうしても乾燥していきます。つまり色が濃くなってしまうのです。濃淡を保つために水分を調節しながら作業を続け、なるべく一段落つくまで一気に済むように、色挿しを始めたら、長時間やりっぱなし状態になる事がたびたび。
NHKにラジオ深夜便という徹夜の番組があります。深夜から未明に作業が続く時のお友達です。作業を中断しても色が変わる心配のない刺繍の職人さんが羨ましかったりします。もちろん刺繍には刺繍の大変さがあるに違いないのですが。
見頃部分はとても長いので、生地を傷めないように
折りたたんだりせず、ゆったりさせて作業します。
模様が絵羽※1になっているので、縫い目を境に色を間違えないように確認しながら色挿ししていきます。
上前の胸と袖のつながり。
これは色挿しが終わったところ。ふんわりした菊にするために、糸目糊のない無線描きも併用して、個性的な菊と鳳凰の表現です。
左上→ 色挿しが済むと模様伸子から生地をはずして柄行き通りに並べ、
模様のつながり具合や色目が合っているかどうかと点検します。
まだ生地に端切れが縫い付けられています。
下2枚→ いよいよ色付けの作業は終わりと確認出来たら、
次の工程へ進む準備をします。
当て布や端切れを解いているところ。染めた直後の生地は
シワシワでこぼこしているのがよく写っています。
解いた綿糸が地色と同じ色に染まって綺麗なかたまりになっています。
右上→ 剥ぎ合せミシンで見頃や袖などを縫い合せて、長~い一本の反物に戻しています。
ちょっと生地の端をご覧ください!
波打ったように変形しています。これは伸子針や模様伸子※2で絹地を張って友禅の作業をした結果です。蒸気や水をくぐり、張り手や伸子に引っ張られて、いかにも嵐をくぐった感じが生地に出ていますね。
この後、「蒸し」や「水もと」作業、いわゆる「友禅流し」で糊や余分な染料を落とし、乾かしてから「湯のし」という工程を踏むことで、この変形がなくなり、生地が真っすぐ平らになり、機屋さんが織りあげた時と同じ光沢を取り戻すのです。
※1 2014,04,09のブログに説明があります。
※2 2015,08,30のブログに説明があります。
ぼかし屋の染め風景 | 09:52 PM | comments (x) | trackback (x)