2020年10月

 
 
以前もご案内したように、オリンピックに関連して制作された出場国をテーマにした振袖の全てが、この週末に京セラ美術館にて公開されます。新型ウイルス感染防止のため事前にネット予約が必要ですが、入場は無料です。



手描き友禅が多いようですが、ロウケツ染めや絞り染めの作品もあるようです。
日本中の製作者が腕を振るいましたので、京都近郊の方には是非お立ち寄りいただければと思います。
もちろん、当ブログで制作工程を紹介中のモナコ公国をテーマとした東京手描友禅もぜひご覧ください
<(_ _)>

お知らせ | 06:17 PM | comments (x) | trackback (x)
大倉集古館の「近代日本画の華」展を観ました。
(写真は展覧会チラシとNHKアートシーンの画像から)
1930年にローマで開かれた日本画の展覧会の出品作の展示です。


右上は竹内栖鳳の「蹴合」闘鶏の図で、チラシのサイズではただ黒い鶏に見えていますが、実物はとても綺麗な彩色で、闘う鶏の羽根が生き生きと躍動



若冲の鶏が苦手な方でも、この絵は気に入ることと思いました。

この絵と並んで、とても美しい白鷺の絵がありました。



宇田荻邨 「淀の水車」
鷺の白い羽根が、ぼかしで水に溶け込んでいるような描き方が印象的でした。どうにかして真似したいものです。

さてこの新聞記事をご覧ください。


朝日新聞 9/15 美の履歴書より

この展覧会を代表する展示、横山大観の「夜桜」の紹介記事で、
見出しは「咲き誇る春 見せたい相手は?」
この絵を見るのはヨーロッパ美術の大御所、イタリア人であることを大いに意識して制作された絵だという解説です。


もちろん日本人が見ても、篝火(かがりび)に照らし出された夜桜は豪華です。



記事に「桜はすべて正面を向いている」とあり、確かにその通りでした。


着物の模様として絵を描く時は、きれいに見える角度だけ描くことはよくあるのですが、絵画でこの表現は珍しいのでしょうね。

「正面向きだけ描く」といいますと、かつて当ブログで紹介したことのある、我が鈴木其一の「朝顔図」もそうです。


 

ただしこちらは葉っぱが正面向き

朝顔のツルがのびのびと画面を覆っています。葉っぱは正面向きだけである方が、ツルの動き、方向性に目が行くからだと思っております。

※ぼかし屋は長年にわたり鈴木其一のファンなのです(‘◇’)ゞ
 朝顔図は2016年10月14日のブログで紹介しております。


展覧会ルポ | 07:26 PM | comments (x) | trackback (x)
東京手描き友禅として、いよいよ一番華やかな工程、花模様の色挿しです。
ここまで来るのは長かったですね!


まず染料の準備。裾模様は群生するカンパニュラの向こうにお城が見えている図柄です。


色は濃い青から青味の紫、紫と青い染料の量を調整して三段階、それぞれに濃淡3段階、一番弱い淡色紫まで用意。
カンパニュラはキキョウの仲間で、色々な形があるようですが、振袖の模様の効果を考えて、一番見栄えのする大型のキキョウ型にしました。
広い花弁でぼかし効果狙いです。


長い生地を模様伸子(もようしんし)に張って作業していきます。

ちょっと細かく紹介しますと……


振袖が出来上がった時に三種類の青紫がバランス良く散るように、どの花をどの青紫にするか、先に決めて青花ペンで印をしておきます。ズームで糸目糊がよ~く見えてます(^^)



大きな花弁を一番の濃色から白に近い淡色までぼかすには一度では綺麗に上がりません。複数回に分けて重ね塗りします。最後に一番濃くなる所に先に色をいれておきます。


乾いたら染料を重ねてまたぼかしていくのです。




完全な乾燥ではなく理想は生乾き。机下の電熱器が活躍します。この花が乾くまでに別の花をぼかして、というように順を追って作業していきます。



同じ面を連続でご覧いただいていますが、だんだんと濃淡がついてメリハリあるカンパニュラになっていきます。

上の花は染料が乾いています。
下の花はまだ濡れていて色が発色せず、よどんで見えますね。



さらに染料を挿して、濃淡の差を強くしていきます。


花芯はまた後でごふんの白を挿しますが、まわりの紫色でだいぶ花芯も際立ってきました。


最後に縫い目を境に色や濃淡の具合がきちんとつながったか、色を間違えなかったか、確認しているところです。


模様のぼかしの方法は特に決まりはなく、製作者によって好みの方法もありますので、この手順がすべてではありませんが、水の力を借りて染料をぼかす点はすべての友禅染に共通です。


ぼかし屋の染め風景 | 07:43 PM | comments (x) | trackback (x)
 

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