モナコ公国の手描友禅振袖 制作風景 ⑤下絵を洗い落とす

 
東京手描き友禅の制作工程には色々な作業があるのですが、さてこれは何をしている風景でしょうか?


(答えは一番最後に)

前回の紹介風景までで下絵糸目糊置きが終わりました。
普通はこの後に色を染める工程が紹介されますが、ここでは糊と染めの間の隙間作業を紹介いたします。


こちらは下絵を糸目糊でなぞり終わって、下絵が不要になったところです。
糸目の下から濃い青で下絵がのぞいています。
形を訂正したり、ぼかしを入れる予定の箇所につけた印など色々ついています。

このまま染め始めると青花の花汁で描いた下絵が流れ出て生地を汚してしまうので、染め作業に入るまえに下絵を洗い落とすのです。ぼかし屋ではお湯を使い、簡単に流れ落ちます。
お湯をくぐることで、絹生地の染め付けも良くなると感じております。


洗うと、絹の生地は縮み、幅もすぼまります。
でもご安心、この後でフノリ地入れなどの工程で形を整えながら染めでいきます。


水洗いした振袖用の長~い生地を室内干しして(外では虫やホコリの心配が)
完全に乾燥させてから、次へ進むのです。


ほら下絵がとれて図案通りの糸目糊だけが残ってスッキリ!
ゴム糸目糊の水に溶けない成分を利用した方法です。

糸目糊おきと、染料による着色という主要な工程の間の、隙間の工程、ニッチですが、省略できない大切な部分なのです。
(この辺りは同じ東京手描き友禅であっても、製作者によって違う部分です)

最初の写真は室内干ししているところでした。



ぼかし屋の染め風景 | 10:59 PM | comments (x) | trackback (x)

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