モナコ公国の手描友禅振袖 制作風景 ⑥地入れして伏糊の準備

 

前回紹介した下絵洗いが終わると、水のためにシワシワになった絹の上に図案をなぞったゴム糊が糸目状に残っている、でもまだ不安定で、ゴム糊が「生地に食いついていない」状態です。
そこで、


まずこのように生地を張り手にかけて伸子針(しんしばり)で伸ばして、


生地の裏から「揮発地入れ」をします。
生地を裏側から脱脂綿に含ませた揮発剤で拭いて、表に付いているゴム糸目糊を裏側まで貫通させるのです。



どんな揮発剤を使うかは製作者次第で、友禅用ゴム抜き剤あり、ベンジンありですが、ぼかし屋ではロウケツ染めの材料として調合されたロー落とし剤を使っています。

その後で、フノリを水で溶いて刷毛で絹地全体に塗る「ふのり地入れ」を行います。
フノリって何?とお思いの方へ。
「ふのり地入れ」はまだあと2回も登場するので、その時に写真付きで説明いたしますね。
イメージとしては洗濯糊と同じで、生地面を平に張りを持たせるためのものです。
とにかく友禅染は生地がぴぃ~んとしていないと作業出来ない、とご記憶下さいませ。

揮発とフノリ、2種類の「地入れ」が済むと、シワシワだった生地がぴぃ~んとして、次の工程へ進む準備だできるわけです。


アップでご覧ください。
ぴぃ~んとした生地の上にしっかりと糸目糊が付いて、模様を描き出しています。


最後にもう一度、フノリを刷毛で伸ばして生地全体に糊の成分を含ませます。
すると色の染料が生地に留まりやすくなり、染め付けが良くなるのです。染料が糸目糊を越えててしまう「はみ出し」も防止できます。糸目糊は染料をせき止める堤防なのです。

これで友禅染の準備が整いました。

次は模様を糊で伏せて防染作業です。
手描き友禅染は糊防染につぐ防染の作業が続きます(^^;)
糊がフノリか、糸目糊か、伏せ糊かの違いで、フノリ地入れだけでも通常3回は行います。


ぼかし屋の染め風景 | 11:23 PM | comments (x) | trackback (x)

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