2014,03,13, Thursday
手描き友禅の裏方道具、継ぎ合わせミシン東京手描友禅の制作、特に誂え染めでは下図を描くために白生地を仮絵羽仕立てにしますので、地染や色差しをする時はすでに白生地が見ごろや衿、袖の各部分に切り分けられています。襟と衽は反物を縦に長々と切り分けた状態になっています。これを剥ぎ合せて元の反物の状態に戻さないと染色作業が出来ません。
前回に引き続き重要な裏方として本日は剥ぎ合せ専用のミシンを紹介します。
染色作業用の「継合わせ専用ミシン」
普通のミシンの縫い目とは違って縫い代がありません。
このように生地と生地が重ならずに継ぎ合わせることができるので、染めむらが出来にくく乾きも速いのが良い所です。単純な縫い目ですが丈夫で染色作業中に解けることはありません。それに解く時は糸を引くと一度でスルスル解けるので仕立て屋さんも楽です。
ぼかし屋では着物の染直しも承りますが、新規の誂え染めの時と同様、解いた着物を反物に戻すのにこのミシンは大活躍するのです。
ミシンの横にあるのは、生地の端切れです。
染める作業のために張り手(2/26ブログで紹介)をつけたり模様伸子(もようしんし)に張ったりするのに生地が傷まないように端切れを当て布として縫い付けて、張り手の針が反物に直接食い込まないように保護するのです。
化繊や木綿では代用できず、端切れは必ず絹でなくてはなりません。張り手を咬ませてエイヤッとばかりに引っ張るので(だから引き染めと呼ぶのですが)化繊では耐えられませんし余分な染料を吸ってもらうためにも絹なのです。
着物を誂えると少し生地が余分に余るので順番にそれを端切れとして使っています。長い間に貯まった端切れが沢山ありますが、仮絵羽を解いて染めの準備をするには沢山の端切れが必要です。
このミシン、一昨年壊れてしまい川崎ミシン商会さん(新宿区西落合)で直していただきました。こんな変わったミシンを直せる技術者も少なくなっているとのこと。技術の伝承を祈るばかりです。いざという時にはこのミシンを抱えて逃げなくては!
東京手描友禅の道具・作業 | 04:50 PM | comments (x) | trackback (x)