東京手描友禅 染の裏方、フノリ地入れ

 
 東京手描き友禅の地染め(模様以外の地色を染めること)は「引き染め」といって刷毛で生地に染料を染めつけます。型染や浸し染より色ムラが起きやすいという難点があります。絹地がどこも均一にたっぷり染料を含み、ムラなく染まるように、染料で染めるより先に糊を絹地に塗ります。それを地入れ(じいれ)と言います。
 今日は地入れ作業をしたので写真を撮ってみました。
友禅の染め工程を紹介する場合、長くなり過ぎるので大抵省かれてしまう工程の一つが地入れなのです。


※まず生地を端縫いかけして、張り手にはる準備をします。
点前に写っているミシンは今年3/13のブログで紹介した剥ぎ合せ専用ミシンです。


※ これがフノリ。乾燥させた海草です。この位が訪問着一反分の量です。


※ 水に戻したフノリをさらに煮溶かしてトロトロの液状にします。


※ フノリは日本手ぬぐいで濃します。隣に写っているのは地入れに使う刷毛。刷毛は事前に水に浸して木にタップリ水分を含ませてから染色作業に使います。カラカラに乾いた刷毛を水に沈めると木が「あ~やれやれ」とノビノビする感じがします。


※ 漉すといってもなかなか手荒な作業です。日本手ぬぐいを親の仇とばかりにギュ~っと絞って中のフノリをバケツに絞り出すのです。


※ 絞った後で手ぬぐいを開くとフノリの固い繊維がたくさん残っています。漉しが甘いとこの繊維が生地についてしまいます。


※  水を加えてフノリの濃度を調整します。
濃い色を染める時には呉汁(すり潰した大豆を漉した汁)も加えます。
さて準備完了。生地を張り手で張って地入れします。あとはひたすら均等に手と刷毛を動かして絹地に糊を吸ってもらいます。


フノリ地入れが乾いてパリッとした絹地は染料の染付けがよくなります。

東京手描友禅の道具・作業 | 01:21 AM | comments (x) | trackback (x)

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