2014,10,04, Saturday
今までこのブログで話題となった「着物あれこれ」の中から、最近実例を見かけた着物姿を2例紹介します。
その一
昨年2013年4/27日のブログで取り上げた「腰巻姿」を、思いがけず映画で見かけました。
「雨あがる」山本周五郎原作の一場面
さほど大きくない大名家の殿様と奥方がくつろいで話をしているシーンです。殿様はお酒を飲みながら奥方に愚痴めいた話としています。お酌しながら聞いてあげている奥方が腰巻姿です。袴に見えるかもしれませんが、ブルーの小袖の腰に紺色の打掛を巻きつけています。立ち姿の場面がなく残念…。
簡単にまとめただけのお下げ髪なのが印象的です。ブルーの小袖の燕子花の模様は写実的な友禅染め。燕子花の下は金箔があしらわれて華やかです。打掛は紺一色に見えます。立ち歩くと紺色の裾からさらに白地に燕子花や金箔の小袖がのぞくはず。すてきでしょうね!
江戸時代を舞台にした時代劇では、身分ある女性はみな打掛をガウンのように羽織った姿で登場しますが、この映画の衣装担当の方はどんな意図で腰巻姿にしたのでしょうか。今では完全に廃れた着用方法ですが、能や歌舞伎では、よく似た着付け方法を見かけることがあります。
その二
2013年11/26のブログ「宮廷服の礼装」でご紹介した「袿袴(けいこ)姿」
伊勢神宮の遷宮の儀式で天皇家長女の黒田清子さんがお召しになっていました。
家庭画報 2014年1月号より
この写真が横から撮影されているので、袿(うちき、上から羽織るもの)と袴のボリュームがよく分かります。着用するとこんなに大きいのですね!この袴で歩くのは大変そうです。
さらに白い上着を羽織っているのは、おそらく神事への参列だからでしょう。袴はくるぶしまでの長さで引きずりません。
この写真でもう一点面白いと思ったのは一番左端に写る男性の足元です。古くからの沓でも草履などの履物でもなく、大きな写真で見ると子供用運動靴のような白い靴を履いています。動きやすくて狩衣にも合うように現代になってからデザインされた物に見えました。実用的ですね。
2014/10/10追記
先日の千家典子さんの結婚式の日に花嫁一同が出雲大社境内を歩く様子が報道されました。
毎日新聞電子版より
おや珍しい!袿袴姿ですね。報道各社で衣装の呼び名が違うようでしたが、
NHKでは「袿・切り袴」(うちき・きりばかま)と呼んでいました。
風で衣装があおられている分、足元がよく見えます。
袴の下は西洋風の靴。束帯姿の花婿は沓をはいています。
花嫁は儀式そのものでは袿に長袴。(小袿姿)おはしょりしない袿と長い袴を優雅に引いて歩かれたようです。今回たまたま花婿が神職だったので、袿袴姿で境内を歩くという光景が見られました。
こうして見ると袿に袴は意外に実用的な感じもしますね。
裾が広がらず帯も重い現代の着物より…。
着物あれこれ | 10:50 PM | comments (x) | trackback (x)