ぼかし屋の作品例 金通しの生地を使うと…

 
 友禅染の創作用の白生地には縮緬や綸子といった織り方の種類以外に、白い絹糸だけで織った生地か金銀の金属糸を織り込んだ生地かという種別もあります。金糸を織り込むと「金通しの生地」という呼び方をします。他に銀通しもあります。
 師匠の家に通っていたバブル経済の頃、本物のプラチナを織り込んだという生地も見たことがあります。(見ただけ(^^;)触ってもおりません~) 
 それはさておき…本日は同じ種類の模様を図案と生地を変えて染めた例がありますので、金通しと普通の白生地で染め具合がどのように違うかご覧ください。
 素人写真ですが、なるべく違いが写るように撮影いたしました。



制作に使用した生地。左が金通し。右が普通の白生地。地紋は同じ。

 金属糸の織り込み方によりますが、それほどピカピカ光るわけではなく、金通しならベージュに、銀通しならグレーに落ち着いて見えたり、光の加減によって光って見えたりします。



地染め。下が金通し。まったく同じ染料ですが、金通しの方が少し柔らかい感じがします。
辛子色の濃淡が三段階に出るようにぼかし染めを二回に分けて行っています。


  普通の白生地の方(上)


  金通し生地の方

 色挿し




 色挿しの出来上がりを見比べると濃い色の所ほど金糸がよく見えます。
金属糸は染料で染まらないので、同じ色で染めても金通し生地の模様の方が少しボウッとした感じに仕上がります。


金通しでない生地の模様には薄く金霞を加えて華やかさを出しました。


染め上がり。左の普通の白生地の方が色は鮮やかに見えます。


金通しがよいかどうかはお好みや、模様との相性によります。この作品例は帯地ですが、訪問着など着物そのものが金通しの場合は、お召しになった方の動きに合わせて光沢が出て華やかになります。
礼装というよりはパーティなどお洒落着に向くようです。


お太鼓に結ぶとこんな感じ。垂れ先にも辛子色の濃淡が出るようにぼかし染めしてあります。

金属糸をどの程度表に織り出すかは地紋のデザインによりますが、多くの場合表より裏に多くの金属糸が出てるため裏側の方が表より光って見えます。


ちなみに、このように裏にも表と同じように染料が染み透っているのは、
模様の色を手仕事で一つ一つ筆で色挿しした生地の特徴です。
ぼかし屋の作品紹介 | 09:55 PM | comments (x) | trackback (x)

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