手描友禅の本拠地、金沢へ旅行 ②旧暦の雛祭り

 
手描友禅の本拠地、金沢へ旅行 ②旧暦の雛祭り

 旅行は3月末でしたが、何度も雛飾りを見かけました。
今年の雛の節句は旧暦なら4月21日。来週の火曜日です。金沢では旧暦で祝う習慣が残っているのでしょう。雛人形があちこちで飾られていました。

前田家のお屋敷だった成巽閣のお座敷では、
所蔵の雛人形や雛道具類の展覧会が開かれていました。


                        写真は展覧会ポスターより
  前田家に伝わった大きな次郎左衛門雛(じろうざえもんびな)

 江戸時代中期に次郎左衛門という人形師が創り出した様式のお雛様で、当時大流行したそうです。テルテル坊主のような真ん丸なお顔に引目鉤鼻がちょんちょんと。可愛らしさが流行の理由かもしれません。現代でいうならキティちゃんのような存在だったのでしょう。

 実はこのお雛様の前に置かれたお供えにビックリ



    金花糖です。
金花糖(きんかとう)は私が幼かった昔、東京下町の雛飾り用の砂糖菓子でした。
当時住んでいた北池袋でも、お節句が近づくとお菓子屋さんの店先にたくさん並び、気軽に買えるものでした。
 熱して溶かした砂糖を型で整え、冷やし固めて作る飾り菓子で、形は鯛や野菜が多く、春らしい鮮やかな色をしていました。立体ですが中は空洞で、たいへん薄くデリケート。壊れないように竹の籠に盛って売られていました。指先でつつくと簡単に割れてしまいアッと思ったらもう遅く、イタズラして後悔する子供でした。
 だんだん見かけなくなり、大学生の頃、池袋の東武デパートで、セロファンでラッピングされて並んでいるのを見て、高級品になってしまったと驚いたものでした。
 それ以降東京で見かけたことはありません。
 復元に努めているという職人さんが新聞に取り上げられているのを、しばらく以前に読んだくらいですから、東京では飾る習慣が廃れてしまったのです。

 この成巽閣の金花糖はとても写実的で、大きなお雛様に合わせて、大きなお飾りでした。
 成巽閣の中は撮影禁止。でもあまりの懐かしさに携帯電話でソッと写しました。金花糖は成巽閣に含まれない…とへ理屈をつけて。ゴメンナサイ。
 金沢市街でも何回となく金花糖を見かけました。嬉しいことに金沢では金花糖は健在。
全体に記憶の中の金花糖より立派でした。



 この金花糖は昼食をとった金沢料理のお店「四季のテーブル」で撮影させていただきました。
模様を描いたハマグリもありますね。
加賀野菜の金時草(きんじそう)を使ったちらし寿司を頂きました。



お店の雛飾り。階段箪笥の上に飾られています。なんてお洒落でしょう!

 最後に、我が家のマメ雛を紹介します。
現代版の次郎左衛門雛よろしく、我が家のお雛様の中で一番丸顔の可愛いお顔です。


    2月に写した写真です。(鳴子のこけしも一緒です)

 お供えは雛あられ干し柿。どちらも知人から手作りの品を頂きました。
 特に手作りの雛あられはこのたび初めて味わいました。やさしい甘さに香ばしさが加わり、あられは本来こういうお菓子なのだと感じました。なんでも姉妹で集まり年中行事としてお作りになるとか。素敵ですね。
 干し柿は、茨城県の「ちょっと人里離れた所」に住む知人が寒風の中で作業して作った労作。こちらも手仕事ならではの美味しさでした。
 ご馳走様でした。
季節の便り | 12:35 PM | comments (x) | trackback (x)

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