琳派の記念展覧会  高島屋と根津美術館

 
 この春は立て続けに琳派の花の絵を楽しむ機会がありました。
今年は琳派にとって区切りの年とのことで、多くの美術館で記念展示があるようです。

 日本橋の高島屋で開かれた「細見美術館・琳派のきらめき」展の解説によれば、
琳派の始祖とされる本阿弥光悦が、家康から鷹峯の土地を拝領して彼の芸術村を創設したのは、
ちょうど400年前だそうです。


 それを記念して京都の細見美術館の琳派コレクションが
引っ越し展示
されたわけです。

 琳派とされる画家の頂点に立つ俵屋宗達(光悦と同時代)から、神坂雪佳(明治初期)
まで、特に私の一番好きな画家、鈴木其一(江戸後期)の作品を複数鑑賞できました。
何かというと其一の話題で恐縮ですが(^_^;)


  雪中竹梅小禽図 (図録より)

其一の雪を初めて拝見。梅の枝にふっくりと積もった雪、竹笹に重く積もって崩れる雪、どちらも雪がとても立体的でした。描いてさらに胡粉を吹き付けるなど工夫されているそうです。


 
  朴に尾長鳥図  (部分)

 いわゆる緑色を使わず、青磁色で葉を描き、朴の花も写実的です。
スケッチしたままを彩色した感じで、パターン化した所がまったくない其一
…ちょっと驚き…

 この絵も驚きで…



   槇に秋草図屏風

 「オッ!これも其一!」と思って近づいたら、師匠の酒井抱一の作との表示。
でも菊の葉をきっちり整理整頓し、パターン化して描き込む感じは其一サンだと思ったのですが…。抱一センセ!弟子に代作させませんでした?!(*’▽’) 

 私淑で受け継がれた琳派の中にあって、其一は抱一の正式な弟子でした。
この時代、師匠の代作をすることは高弟の証で名誉なことだったはずですが、代作云々は
其一贔屓の私の勝手な推測です、悪しからず。(^_^;)
絵具の剥落がとても残念な作品でした。

 この春第二弾の琳派は根津美術館



こちらは尾形光琳没後300年と銘打って「燕子花図屏風」と「紅白梅図屏風」が並べて展示されていました。
 燕子花は根津美術館所蔵でいつも表参道にありますが、紅白梅の方は伊豆のMOA美術館所蔵、門外不出で大切にされているので、この貴重な機会逃すべからず!でした。


「紅白梅図屏風」尾形光琳  (写真は展覧会チラシより)
 初めて拝見。 
有難いことに両方とも屏風として(つまりギザギザの状態で)飾られていました。

 つくづく眺めていて、私にとっては左側から観るほうが構図が魅力的だと気付きました。 写真撮影禁止だったので、帰宅後に展覧会チラシから紅白梅図を切り取り、屏風たたみにしてお盆にのせ、左側から撮影してみました。



 足元に白梅の太い幹、視界に収まらず天から降り降りてくる白梅の枝、
こちらへ向かってくる流れ、その向こうに立つ紅梅


本物でなく、こんな小さな切り抜きの写真で恐縮ですが、
雰囲気は出ていると思います。左からの方が迫力あました。

 二曲一双の屏風ですから、常に並べて使ったわけでなく、一隻だけを部屋の仕切りに使うこともあったはず。どちらか一つ貰えるなら、左隻(白梅)がいいな、などと勝手なことを考えておりました。想像は自由。(*^^)v

 光琳の下図がたくさん展示されていました。



   桐の絵の下絵。
 当て紙をして描き直しているのに親近感を覚えます。
私もよくやります。下図は試行錯誤あるのみなので。

たいへん美しかった展示品を一つご紹介します。


  薊図、露草図団扇

 光琳晩年の弟子の作と考えられていて、元は団扇の表裏だったそうです。なんと贅沢な!
特に薊(アザミ)の配色は、そのまま振袖に使えそうです。
コーヒーブラウンに蘇芳ピンクの花々、ちょっと個性的ですが。

 どちらもとても楽しめる展示でした。
いつか京都に細見美術館を訪ねてみたいものです。
展覧会ルポ | 07:10 PM | comments (x) | trackback (x)

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