東京手描友禅の道具・作業

 
東京手描き友禅の作業、伸子針(しんしばり)の色抜き

 今日は溜め込んでしまった伸子針の色抜き作業をしました。

 模様の色挿しや、地色を引き染めする時に、生地をピンと張るのに使う道具が伸子針



 細い竹の両端に針がついていて生地の耳部分に刺すので、引き染めをすると染料が竹の先端について汚れてしまいます。

 そのまま次の染めに使うと竹から生地へ染料が移ってしまうので、伸子針を脱色するのが「色抜き」です。



容器にハイドロコンクという抜き剤をいれて煮沸します。抜けたら針の上下を入れ替えて全体をきれいにします。





引き染めをすると、竹製の伸子針が弓なりに曲がるのですが、煮沸のおかげで真っすぐに戻ります。
長年何度でも染めと抜きを繰り返して使い続けています。



仕上げに抜き剤の成分を洗い落とします。
タップリの水にさらに流水も流して完全に。抜き剤が残ってしまって、次回の染めで生地に抜き剤が移ったら大変です!



水を切り、なるべく通気よいように、三日ほど乾かしてから収納します。
針がもれなく付いているので、ついついひっかき傷を作りながらの作業です。

東京手描友禅の道具・作業 | 09:57 PM | comments (x) | trackback (x)
東京手描友禅の道具、伸子(しんし)
 着物生地に手描きで染付けする作業に欠かせない道具に伸子があります。「しんし」と読みます。生地に模様を筆描きする時や、手描き友禅用の糸目糊置き、伏糊置きをする時に、長い生地の一部だけ(作業したい部分)をピンと張るのに使うものです。
 伸子には、長くてサイズが色々ある模様伸子(もようしんし)と、基本的に反物の横幅を張るサイズの伸子針(しんしばり)の二種類あります。
作業中の写真をご覧ください。


見頃一本の裾模様二か所を伸子で張っているところ。作業する面と裏側と。


 生地を対角線に大きく張っているのが模様伸子
×に交差した部分を左手で持って作業します。
生地の横幅を等間隔で張っているのが伸子針


 どちらも先端に針がついていて、その針を生地に挿して張るのです。

 伸子針は地色を引き染めする時も使います。

 引き染めをすると伸子針の先端部分(針の根元)が染料で汚れます。


 
 繰り返し使用するために汚れるつど色抜きします。たとえば緑の染料が付いたまま次の白生地に針を使うと、生地の端に緑色がポチポチと針から染み付いてしまうのです。

 色抜き剤をいれた湯に伸子針を入れてグラグラ煮て色抜きします。

色抜きと同時に、熱い湯のおかげで曲がった伸子針がまっすぐに戻ります。
竹って大したものです。もう四半世紀以上前から使っている伸子も現役なのですから。
何度でもまっすぐに戻り、生地をピンと張ってくれるのです。


 色抜きしたら、色抜剤が残らないよう伸子針をザクザク水洗いして、
三日ほど乾かして出来上がりです。作業に欠かせない金盥と軍手も一緒に写しました。
みんな友禅の縁の下の力持ちたちです。

東京手描友禅の道具・作業 | 12:49 AM | comments (x) | trackback (x)
長い白生地を染めるには---友禅染の下準備。
 当ブログをお読みくださった方からご質問をいただきました。
「長い反物。どうやって普通の住宅の中で染めているのですか」

答えは「切ってから染める」です。

お客様のサイズに合わせてまず白生地を裁って白い着物を仕立てます。
仮絵羽仕立てという簡単な縫い方です。ここに下絵を描きます。
 
 仮絵羽仕立て


 仮絵羽の上に下絵を描いているところ。


 これを切り離し、糸目糊置きした後はこのように着物は各パーツごとにバラバラです。


 バラバラの生地をまた元の反物の状態に縫い合わせます。
見頃2本、衿と衽で1本、袖2枚で1本、裾回し1本、計5本の長い生地にして、生地の切り口には染色作業用に端切れを縫い付けます。(張り手や伸子に生地を掛けるため)



ミシンは剥ぎ合せ専用のミシンです。
2014/3/13のブログ手描き友禅の裏方道具、継ぎ合わせミシンでも紹介しています。

  縫い合わせが済んだところ。



 長い反物の状態に戻りました。
これから先がいよいよ染色作業となります。

東京手描き友禅は誂え染めの一点物が多いので、
このように切り分けて作業することができます。
引き染めの専門業者の方や、型染め屋さんは条件が違うので反物を切ってしまう訳にはいかず、細長い大きな作業場で仕事をなさっています。

※当ブログにはお問い合わせフォームがついております。
ご注文に限らず。ご相談やブログについての質問などなど…歓迎です。
お気軽にフォームから送信してくださいね。
お返事申し上げます。

2014年12/27 追記
端縫い掛け、ふのり地入れ(14年8/9ブログで紹介)と進み、本日地染めをいたしました。
裁ち切って、剥ぎ合せて染めていることがよく分かる写真を撮ったので追加で掲載します。


 端縫いかけした端きれが生地を守っています。染色作業では必須です。端きれは絹の着物生地でなければ役に立ちません。(化繊では強度が足りず、染料を吸ってくれないため)着物を制作するごとに余った生地を色試しに使ったり端きれにしたり、無駄なく利用しております。

 これが今年最後、〆の地染めになります。
お正月は色挿しを頑張ります。捗るかな!?
皆様よいお年をお迎えください。
東京手描友禅の道具・作業 | 09:41 PM | comments (x) | trackback (x)
東京手描友禅の染め道具 ぼかし刷毛
 反物に引き染めをする時に使用する刷毛は通常は五寸刷毛と呼ばれるもので、当ホームページのトップページにも写真があります。塗切りの染めだけでなくぼかし染めも五寸刷毛で行うのですが、特に不規則な感じのぼかし染めをしたい時には専用のぼかし刷毛を使っています。


 大中小あり主な色別に揃えたいところですが
高価なので青、赤系に大きく使い分けております。


 ふっくらと放射線状に毛が植え込まれています。束ねた毛の根本に砂を咬ませてギュッと縛り、このように綺麗に毛を立てているのです。


 まったく惚れ惚れする道具です。
 作る職人さんはもうほとんどいないとか。ケチケチと大切に扱っております。うっかり逆さにすると毛を立てている砂がこぼれ落ちてくるので、洗ったり乾かしたりする時も下向きにしておきます。

 最近この刷毛を使った時の写真です。
 最初にサッと大枠をぼかして


 さらにぼかし刷毛で細かくアッチ向いたりコッチ向いたりしたぼかしを加えます。


 刷毛に含ませる染料の量を違えることで濃淡をつけ、ぼかし刷毛をどのくらい生地の上を走らせるかでも濃淡をつけます。

 今回はザックリと葉っぱのイメージで、さらに色を加えます。


 数種類の緑色と黄、グレーを使いました。


筆描きした葉の上からぼかし刷毛でこすると葉の境目が柔らかく滲みます。



 緑系の色目で染め上がった模様となりました。
東京手描友禅の道具・作業 | 11:01 PM | comments (x) | trackback (x)
 東京手描き友禅の地染め(模様以外の地色を染めること)は「引き染め」といって刷毛で生地に染料を染めつけます。型染や浸し染より色ムラが起きやすいという難点があります。絹地がどこも均一にたっぷり染料を含み、ムラなく染まるように、染料で染めるより先に糊を絹地に塗ります。それを地入れ(じいれ)と言います。
 今日は地入れ作業をしたので写真を撮ってみました。
友禅の染め工程を紹介する場合、長くなり過ぎるので大抵省かれてしまう工程の一つが地入れなのです。


※まず生地を端縫いかけして、張り手にはる準備をします。
点前に写っているミシンは今年3/13のブログで紹介した剥ぎ合せ専用ミシンです。


※ これがフノリ。乾燥させた海草です。この位が訪問着一反分の量です。


※ 水に戻したフノリをさらに煮溶かしてトロトロの液状にします。


※ フノリは日本手ぬぐいで濃します。隣に写っているのは地入れに使う刷毛。刷毛は事前に水に浸して木にタップリ水分を含ませてから染色作業に使います。カラカラに乾いた刷毛を水に沈めると木が「あ~やれやれ」とノビノビする感じがします。


※ 漉すといってもなかなか手荒な作業です。日本手ぬぐいを親の仇とばかりにギュ~っと絞って中のフノリをバケツに絞り出すのです。


※ 絞った後で手ぬぐいを開くとフノリの固い繊維がたくさん残っています。漉しが甘いとこの繊維が生地についてしまいます。


※  水を加えてフノリの濃度を調整します。
濃い色を染める時には呉汁(すり潰した大豆を漉した汁)も加えます。
さて準備完了。生地を張り手で張って地入れします。あとはひたすら均等に手と刷毛を動かして絹地に糊を吸ってもらいます。


フノリ地入れが乾いてパリッとした絹地は染料の染付けがよくなります。

東京手描友禅の道具・作業 | 01:21 AM | comments (x) | trackback (x)
手描き友禅の染め。色挿し
 東京手描友禅には様々な工程がありますが、一番華のある工程は模様の色挿しです。模様一つずつ、筆で染料を塗ることを色挿しと呼んでおります。
 染料を布に色挿しした直後は暗い色合いなのですが、染料が乾くに従い色が明るく変化します。
この違いはなかなか素人写真では判別出来ないのですが、本日作業中に撮影したものが比較的よく写ったのでご紹介します。

 ※写真にうず巻きが出てしまっています。これはデジタルカメラとシボの強い縮緬の相性が悪いためです。シボを読んでしまうようなのです。ご容赦を。
 

色挿ししたばかり。全体に濡れて暗い色合いです。
色の濃淡は、まず薄い色の染料を塗り、すぐ濡れているうちに濃い染料を片歯刷毛でぼかし染めしてつけてあります。


花びらの先端から乾いてきました。
早く乾くよう作業机の熱源にさらしながら色を挿していきます。


だいぶ乾きました。まだ中央部は暗さが残り、回りは明るくなりました。


完全に乾いて色挿し終了です。


出来上がりを裏から見たところ。模様伸子が写っています。

このように裏も表と同じように染まるのが手描き友禅の特徴です。筆描きなので染料が裏まで完全に染み透るからです。裏には糸目糊がないため出来上がり(表から糸目糊を洗い落とした後)をイメージしやすく、作業中よく裏返して眺めています。

 基本的に染料が濡れているうちは濃く暗い色合いで、乾くと薄く明るくなります。乾いた時の色を考慮して色を作ります。工程の最後に糸目糊を落とすと白い糸目が浮き上がり、模様に手描き友禅ならではの透明感が出ます。
 染料は模様の色挿しも地染でも同じ染料を使います。地染の時も乾いたらどんな色に仕上がるか、染料を煮ながら、試し布を染めて様子を見ながら考えて作るわけです。
 色の発色具合はその後の工程、蒸しや水洗いでも少々変わります。

東京手描友禅の道具・作業 | 11:30 PM | comments (x) | trackback (x)
 手描き友禅の裏方道具、継ぎ合わせミシン

 東京手描友禅の制作、特に誂え染めでは下図を描くために白生地を仮絵羽仕立てにしますので、地染や色差しをする時はすでに白生地が見ごろや衿、袖の各部分に切り分けられています。襟と衽は反物を縦に長々と切り分けた状態になっています。これを剥ぎ合せて元の反物の状態に戻さないと染色作業が出来ません。
 前回に引き続き重要な裏方として本日は剥ぎ合せ専用のミシンを紹介します。



染色作業用の「継合わせ専用ミシン」
 普通のミシンの縫い目とは違って縫い代がありません。



 このように生地と生地が重ならずに継ぎ合わせることができるので、染めむらが出来にくく乾きも速いのが良い所です。単純な縫い目ですが丈夫で染色作業中に解けることはありません。それに解く時は糸を引くと一度でスルスル解けるので仕立て屋さんも楽です。
 ぼかし屋では着物の染直しも承りますが、新規の誂え染めの時と同様、解いた着物を反物に戻すのにこのミシンは大活躍するのです。
 ミシンの横にあるのは、生地の端切れです。
 染める作業のために張り手(2/26ブログで紹介)をつけたり模様伸子(もようしんし)に張ったりするのに生地が傷まないように端切れを当て布として縫い付けて、張り手の針が反物に直接食い込まないように保護するのです。
 化繊や木綿では代用できず、端切れは必ず絹でなくてはなりません。張り手を咬ませてエイヤッとばかりに引っ張るので(だから引き染めと呼ぶのですが)化繊では耐えられませんし余分な染料を吸ってもらうためにも絹なのです。
 着物を誂えると少し生地が余分に余るので順番にそれを端切れとして使っています。長い間に貯まった端切れが沢山ありますが、仮絵羽を解いて染めの準備をするには沢山の端切れが必要です。
 このミシン、一昨年壊れてしまい川崎ミシン商会さん(新宿区西落合)で直していただきました。こんな変わったミシンを直せる技術者も少なくなっているとのこと。技術の伝承を祈るばかりです。いざという時にはこのミシンを抱えて逃げなくては!

東京手描友禅の道具・作業 | 04:50 PM | comments (x) | trackback (x)
東京手描友禅の引き染め道具
 東京手描友禅が京都や金沢といった友禅の大産地と違うところは、デザインから色差し、引き染めといった友禅工程を一貫して行う製作者が多いということです。製品の販路が全国に広がっていた大産地と違い、江戸は地産地消で小規模な業界だったため分業が進まなかったという説があります。大名屋敷や侍階級が顧客で創作一点物が主流だったからという説も聞いたことがあります。
 ぼかし屋でもデザイン、色差しだけでなく引き染め(主にぼかし染め)も行っています。このブログとホームページで引き染めの写真を多く掲載しておりますが、ご覧になった方から 「長い反物を横に張っている道具はどんな物?」という質問がありました。
 ごもっともな疑問です。普通は道具類は縁の下の力持ちですから写真には写りません。
 そこで本日は引き染めで使う道具類を紹介いたします。



     張り手 (布を挟む二本の木の間には釘のような歯があります)
 
 反物の端に当て布を縫い付け、そこに張り手の針を咬ませて縄で柱と柱の間に反物をピンと張ります。たるむと糊や染料が均一に伸びないので水平に力一杯縄を引きます。

 実際に生地をはったところです。



 一本の生地を張るのに両端で二本の張り手が必要です。
 誂え染めでは仮絵羽仕立てした白い着物に下絵を描いてから解いて染めます。ぼかし屋では身ごろ2本、衽、袖と分けて染めます。ただし振袖にように袖が長いものや、柄行きによっては七本まで分けて染めております。当然ながら張り手は総動員です。







 これは地入れ(生地にフノリを含ませて地染の準備をする)で使う一式です。糊専用の刷毛、フノリを入れた バケツ、霧吹き、伸子針。手前のビニールに入っているのは煮解く前にフノリです。
このバケツはガーデニング用として売っていたものですが、ヘリに刷毛が置ける平らな部分があり便利です。また見かけたら買い足したいと思っています。
 地染の時はこのバケツに染料が入ります。複数の色で染め分ける時はバケツがいくつも並び、色を間違えないように神経を使います。ペンキ類はパッと見ただけで色の違いが分かりますが、バケツに入った状態の染料は色の違いが分かりにくいのです。



伸子針は地染をすると染料で汚れます。しなって曲がっています。
色抜き剤で煮て染料を落とします。すると



このように綺麗に色が取れて竹らしくまっすぐになります。また新たな染めに使えるわけです。さすがに竹、長年使ってもすっきり元に戻ってくれます。
ちなみに…、伸子針は何度でも色落しして使えるのに比べ、刷毛はそうはいきません。
熱湯で洗うだけで色抜き剤などは使えませんので、赤系、青系などなど、それぞれ薄い系、濃い系と何本も揃えております。その一部をホームページに掲載しております。染め工程の案内には張り手を使った地染めの写真も掲載しておりますので是非ご覧下さい。

 最後に2月中旬の東京の大雪の際に撮影したベランダからの写真を紹介します。
夜、未明まで吹雪のように降り続いた雪をフラッシュをたいて撮影したところ、なかなか幻想的な写真になりました。



 雪は普段の東京の汚れを隠してくれるようですが各地に大きな被害ももたらし、綺麗だと喜んでばかりはいられない状況だったのは皆様ご存じの通りです。ぼかし屋でも各種やり取りに日常的に利用している宅急便が大幅に遅れ、日頃の「翌日配達」がいかに有難いものか実感いたしました。


東京手描友禅の道具・作業 | 04:48 PM | comments (x) | trackback (x)
東京手描き友禅の道具・物差し

 手描き友禅、特に東京手描友禅に多い創作一点物を染める場合、お客様の体型に合わせた丈、幅に仮絵羽仕立てを行うので寸法取りはとても大切です。着物は絵画ではありませんから、実際には模様の中を縫い線が通ることになります。模様を綺麗に見せるため縫い線の位置も考慮して図案を考えます。
 いずれにせよ模様を考えて下絵が完成するまで物差しは手放せません。



          愛用の物差し
  下から①メートル、②メートルと鯨尺(くじらじゃく)兼用
      ③~⑤鯨尺 大中小、⑥曲尺(かねじゃく)

 もちろん一番出番が多いのは③、④、⑤の鯨尺です。
②の兼用タイプも重宝しています。⑥の曲尺は本来は建築関係で使われるそうですが、地方によっては曲尺で寸法をおっしゃる方もあり用意しています。
①の竹製の30㎝物差しは我が家にかなり古くから存在していて購入時期は不明です。4,50年前のものではないかと思います。
この写真をご覧ください。



     上は古い竹製、下は今の竹製の物差し

 物差しの断面を比べると古い30㎝物差しの断面は端がすっと伸びているのがお分かりになるでしょうか。指で物差しの端をすーっと触るとかなり鋭利に竹をカットしているのが分かります。これなら設計図など誤差の許されない線も正確に引くことが出来そうです。
 比べて今時商品の下の物差しは竹の端が厚さ数ミリあるのです。ペンをあてる角度によって線にズレが出やすい形状です。着物の制作には差支えないので気にせず使っておりますが、竹の物差しとしての価値は昔の物の方が高いわけです。作る人の腕も違うと思いますが、おそらく材料の竹も違うのではないでしょうか。固い竹でなければ端を鋭く仕上げることは出来ないでしょう。

 ご参考までに鯨尺と曲尺を並べてみました。



      上が曲尺、下が鯨尺です。同じ1寸でもかなり違います。

 最後の写真は便利に使っている巻尺型の鯨尺です。


 お客様の着物のサイズを決定するのに、お手持ちの着物のサイズをお客様自身で測っていただきますが、鯨尺はお持ちでない場合が多いのでこの巻尺をお送りして使っていただくのです。物差しと違って巻尺は封筒に入れて簡単に郵送できるので便利です。
東京手描友禅の道具・作業 | 10:55 PM | comments (x) | trackback (x)
東京手描き友禅の道具 筆

 東京手描友禅は文字通り手描きの友禅染めですから、多くの染め筆や刷毛を利用して、糸目糊で防染した模様に一か所ずつ手で色を挿して描きます。 染め上がりに防染糊の跡が糸の目のように白く残るので糸目友禅と呼ばれます。
 糸目糊の防染をせずに絹地の直接模様を筆で描く無線友禅と呼ばれる技法もあります。絹地の上に描く水彩画のような感じです。

 普段使う染め筆を一部写してみました。


 手描き友禅の技法では、どちらも多くの筆、刷毛を利用します。一度使用した筆、刷毛は完全に染料を落とすことは出来ないので基本的に同系統の色合いの彩色に使い続けることになります。ですから赤系、青系というように数多くの筆を持っています。
 筆の写真など写すことは普通ありませんが、今回撮影してみるとなかなか面白いものですね。上からアップで写してみますと…。


赤系統で使っている筆のラインアップです。
 

 赤い花をいくつか描く場合、同一の赤ですべて色挿しするのではなく少しずつ違う赤を作って色挿しすると染め上がった時に見栄えする模様になります。ですから筆も同時に沢山使うことになります。

 ほとんどの筆、刷毛類は京都の染色材料屋さんの川勝商店さんのものです。長年愛用しています。きちんと手入れしながら使うと長く使い込めるので助かります。

 模様の色差し用の小さな刷毛もあります。


 刷毛の毛先は片方だけが長いので「片歯刷毛」(かたはばけ)と呼ばれています。
例えば花びらの中の先端だけ濃くしたりするボカシ染めに利用します。サイズが多く数の大きいものほど大きな刷毛です。私は3号から6号を利用しますが、一番活躍するのは5号の片歯刷毛です。
 染め筆ほどではありませんが、一つの刷毛は同系統の色でだけ利用する点はこちらも同じです。



 ですから色挿しの作業中は作業机の上は大変にぎやかです。

 皆様もたとえばネクタイやニット製品をお選びになる時に 「よく似たタイプだけど こちらのほうがステキ」と思って手に取ったらお値段が高かったというご経験がおありだと思います。同じグレーでもよく見ると様々な色合いの糸が織り込まれている方が全体の色に深みが出てステキな仕上がりになります。手描き友禅もそれと同じです。
 同じ花、葉でも少しずつ違う色を挿していくことで全体が、たとえ地味な着物でも華やかさのある色目になるのです。
 そういう訳で筆と刷毛は沢山たくさん使うことになります。
東京手描友禅の道具・作業 | 11:50 PM | comments (x) | trackback (x)

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