東京友禅は、ぼかし屋友禅へ

 
着物姿で仕事する女性

前回のブログで法政大学の前総長、田中優子さんの地球温暖化への危機意識についてのご意見を紹介しました。その際、いつも着物を着て仕事をしていらっしゃるとテレビ画像でご紹介しました。
本日はその流れで。
少々古いのですが、新聞切り抜きから。
新聞をスキャンした画像で保存していました。紙面の裏側も写ってしまい綺麗な写真でご覧いただけず残念…(>_<)

総長室で仕事をする時も立ったままで、いつも着物姿とのこと。204年に総長に就任されてから新聞やテレビでお見掛けするたびに、何てカッコイイ女性だろう。着物姿も完璧(*’▽’) と感じ入ってきました。写真だけでは着物の詳細は分かりませんが、常にその場にふさわしい雰囲気のお洒落着をお召しです。


朝日新聞 2018年3/8 夕刊

「一語一会」という連載で著名人が大切にしている言葉を紹介する記事です。せっかくの機会なので内容も。
田中優子さんの大切にしている言葉はお父上の
「近くにいることを大切にしなさい」

何の近くかというと「自分の好きなこと、やりたいこと」
高校時代からのめり込んだ江戸時代の文化や文学をさらに研究しようと大学院へ進むことを希望していたものの、人文系で大学院へ進むと一般的な就職は難しくなるのは今も昔も同じなので、進学を迷っていたら、お父上から贈られた言葉だそうです。

着物姿もさることながら、大変すばらしい言葉だと思い切り抜いておいたのでした。
お父上の言葉、以下全文
「どんな生き方をしてもいい。魅せられたことを手放してはいけない。好きなこと、どうしてもやりたいことの近くにいることを大切にしなさい」

着物あれこれ | 10:43 PM | comments (x) | trackback (x)
着物姿で働くカッコイイ女性からの提言

先月以来、八月のお盆を過ぎても熱夏、熱暑が続きますね。ぼかし屋が子供の頃は30度を超すと「さすがに真夏だね」でしたが、東京は37度が珍しくなくなりました。
冬、霜が降りず雪も降らなくなった事、世界各国の山火事などのニュースと合わますと、温暖化しているのは間違いなく…どうすればいいのか…
先月7月16日 TBSテレビの番組、サンデーモーニングにて法政大学の前総長、田中優子名誉教授がこの点で発言しておられました。
実は田中優子さんはとっても素敵な方で!いつも着物姿。
総長のお仕事もテレビの出演も、季節の着物を着こなしていらっしゃいます。


(テレビ画像から)
夏の薄物の着物とお見受けします。帯の色合いも着物と合いおしゃれ(*^-^*)

話題を戻しますと…
地球温暖化、異常気象へ対処する意識、
温暖化は私たち自身に責任があるという意識、
それが日本は世界各国に比べ低いという番組データに対して。


田中優子さんのお話の主旨は→ 
地球温暖化はもうギリギリのところまで来てしまった。
特に日本で対策が進まないのは、国として、政治家の認識自体が経済優先、経済活性化優先になっているから。長年経済優先してきたが、その結果、潤ったのは一部の人、一部の大企業だけという世の中になってしまっている。
ここはひとつ皆で認識を変えて、経済云々よりも温暖化対策に本腰をいれる政府、政治家を私たちが選挙の時に選ぶという意識を持たなければいけない。温暖化は私たち全員の問題なのだから。

地味ですが、重要なご指摘だと思いました。
経済のためと言われると、それが第一のようにツイ思うわけですが、「これ以上温暖化が進んだら?」と考えると優先順位は変わってきます。すでに東京のほとんどは冷房の電源を失ったら人類は住めない土地になっていますので。
大地震がきたら停電…しますよね東京…(>_<)

温暖化対策、日本に豊富にある地熱の発電はじめとする再生可能エネルギーの利用に本腰をいれる政治家を、私たちが選び育てていかなくては!
適切な人がいなくても、少なくともその方向に賛同する人を選ばなくては、変化の始まりようがないから。
一歩も外に出られない熱波の午後に書いたブログでした。

季節の便り | 07:30 PM | comments (x) | trackback (x)
そごう・西武デパートの広告

熱い暑い真夏の日々が続きます。皆さまはお変わりありませんか。
ぼかし屋は冷房バテもして頭がスッキリしない気分ですが、まずは元気にしております。
本日は2年前のそごう・西武百貨店の2021年4月の新聞広告についてのお話です。
あまりにも印象的だったので広告を保管。コロナから気持ちの距離が出てきたところから、今回紹介したいと思いました。


まるで新聞の上にレシートが置いてあるように見えますね。これは印刷。
2020年6月から11月の間にお客様が買って下さったもののレシートの形をとっています。

広告の趣旨は…
当時はオリンピックが延期になり、ワクチン接種が各国より遅れ、医療現場の負担、マスクとソーシャルディスタンスの不安な息苦しい毎日でしたが、
レシートには「そういう時期でも、お客様がデパートで買ってくださったのは、」として商品名が挙げられています。


スーツケース
口紅
浴衣
ハイヒール
ベビーギフト


そして「たとえ旅行に行けずとも、マスクの下でも、夏祭りは中止でも、等々」
デパートが売っていたのは物ではなく、夢でした」という文章が続いています。
素敵ですね(*’▽’)
夢ある商品の中に「浴衣」が入っているところが特にすばらしい!
花火大会など夏祭りはことごとく中止でしたから浴衣の制作、販売関係の方々はどんなに大変だったことでしょうか。

手描き友禅の職人組合である東京都工芸染色協同組合でも定例の展示会が非公開や中止になったり、オリンピックに因んで各産地で作成された世界各国200着もの振袖が発表の場を失ったり、残念の事ばかりでした。
今、デパートは入場制限もなくなり、マスクせずに品定めを楽しむことができます。たとえ高くて買えなくてもデパートを歩くのは晴れやかな気分になるものですよね。

近年、呉服売り場の縮小、廃止が続くデパートさん!
お互い大変ですが、デパートも友禅の誂え染めも「夢を売る」側面があると思っております。
コロナの次は物価高、円安(;一_一)
でも皆さま、何とか夢は捨てずにがんばりましょ!(‘◇’)ゞ

着物あれこれ | 06:59 PM | comments (x) | trackback (x)
赤いスポーツ車


素敵な赤!
実は先日5月7日まで放送されていたNHK BSのドラマ「グレースの履歴」の放送画面を写したものです。
おとぎ話的なストーリーが魅力的でした。それ以上に映像がとてもとても美しく、紹介したいと思います。勝手に紹介、なのですが(^^;)
紹介したい一番のポイントは赤の美しさと配置です。


画面の中の赤色。赤は強い色ですが、ストーリー自体はセピア色やワビサビのグレーな世界。その中に赤い車を馴染ませるように要所に赤色が置いてあるのです。






NHKの放送ですが車名(社名)は明らか。
車はHondaのF800というスポーツカーであることが重要な意味を持っています。四輪車メーカーとして創成期の作品だそうです。


街から街へ巡るストーリー。途中の風景も撮影の苦労が偲ばれます。彼岸花はどこでも咲いているわけではないですから。




フロントガラス一杯の夕焼けは見事でした。


主人公が縁あって訪問した仁科オートサイクル。二輪車の修理工場。大看板は赤です。焦げ茶色の背景によく合っていますね。壁面の窓ガラスに車の赤が写っていますよ。
その親父さんと車を前に語らう場面。


渋カッコイイ親父役、宇崎竜童さんの足元をご覧ください。真っ赤な靴下。こういうことは演出家が手配するのか俳優さんのアイデアなのか…知りたいところです。親父さんは別の画面(靴下が写らない)では作業服から覗く襟巻が赤でしたよ。


修理工の親父さんの若かりし頃の思い出場面。昔この車を修理したことがあったのでした。


石造りの背景に赤い車。覗き込む若者。


彼の工具入れはもちろん赤


テレビ画面を素人カメラで写しているので限界を感じます。放送ではもっと陰影が美しかったので残念です。
再放送があると期待しております。


このスポーツカーは栃木県茂木市にあるHondaのコレクションホールで見ることが出来ます。Hondaのテーマパークの中にあり、二輪、四輪の往年の名車やF1カー、最新型まで展示されています。
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東京手描き友禅 模様のお話 | 07:02 PM | comments (x) | trackback (x)
「本日は晴天なり」だったので染物屋でなくとも着物を着る、扱うなら必ず使う物のお手入れをしました。



ベランダに干しているのは畳紙(たとうし)です。
着物を着る時や、畳む時に床に広げ、その上で着物を扱い汚れ防止に使う分厚い和紙のシートです。和紙なので湿気を吸ってくれる効果もあり、昔は着物を包むのにも使ったそうです。

辞書を引くと、
畳紙、たとうがみ、とも読む、懐紙と同義。ふところがみとも。または厚い和紙に渋、漆などを塗って強化し折り目をつけた紙。結髪や着物を包むのに使う。(要旨)
とありました。
ぼかし屋でも必須アイテムで、反物を広げる時にも使ったりします。虫干しではないですが、天気のよい時に時々お日様に当て、埃払いします。



すると干した布団と同じく厚い和紙がサラッと乾いてふっくらするのです。折りたたんでもふっくら感がでるところも布団と同じ。
気持ち良いですね。(*^^)v

東京手描友禅の道具・作業 | 12:16 AM | comments (x) | trackback (x)
今回は見た展覧会のルポではなく、お勧め展覧会の情報です。
見ることが出来たら、後日ルポしたいと思います。
(画像は展覧会チラシとNHK Eテレのアートシーンより)

①  ヨーロピアン・モード展 
特集 アールヌーボーってなに?
 文化学園服飾博物館(新宿駅南口)にて。5月20日まで。
https://museum.bunka.ac.jp/exhibition/



当ブログ「きものブログ」は着る物ブログなので、ぼかし屋としては絶対に見に行きたい展示です。


日本でまだドレスに縁がなかったロココ時代の、つまりまだ江戸時代のヨーロッパの服飾が見られて、新しくはクリスチャンディオールまで展示されているようです。

② 「江戸絵画お絵かき教室」展
描くという視点から江戸絵画を楽しむ。
 府中市美術館 (東京都府中市)
https://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/tenrankai/index.html



江戸の画家たちがどんな技法で、道具で、材料で絵を描いていたのかを紹介する珍しい切り口の展覧会。面白そうです!


琳派の画家たちが多用していた「垂らし込み」や、伊藤若冲の技法として有名な「筋目描き」「裏彩色」などを、どのような手順なのか、分かりやすく教えてくれる展示のようです。

  伊藤若冲 「雨竜図」

筋目描き→墨で描いた時に、墨の成分より先に紙に水分が走る性質を利用した描き方。水分が輪浸みのようになる感じ。お習字で経験ありませんか。


NHKのEテレ、アートシーンでも紹介されていました。


   絵具で使う顔料や膠(ニカワ)
すべて自然界にある金属や石、貝などが原料
下から2段目、左から2個目の「べんがら」は鉄粉で防腐効果があり、木材の塗装によく使われたものです。京都祇園の「べんがら格子」が有名です。

 緑青といっても種類があるのですね。

材料の違いはもちろん、砕く細かさが違っても違う色になるとか。    
日本画の経験がない者としては勉強になります。
どのように筆を運んだら、このように描けるのか分かるような展示だそうですよ。


お知らせ | 10:48 PM | comments (x) | trackback (x)
今年の冬は大変寒い日が多いですね。
ぼかし屋のあります東京都江戸川区の西葛西は東京湾に面した位置です。あと二駅ほどで東京ディズニーランドですから東京湾に面した、都内でも温暖な位置です。
ですが、今年は寒い!
先日あまりの寒さに珍しい現象がありました。


団地の木々が何だか光っているような気がして…


ベランダからよく見ると


枝についた雨粒が凍っているのです。
まるで枝が水晶ネックレスで飾られているかのよう。





長年ここに住んでおりますが、これは初めての光景でした。
雨が降り、零度以下で水滴が凍り、そこに薄日が差してきて氷が光って見えたようなのです。
光と温度の加減で、わずか20分ほどの眺めでした。





自然現象をこのような所で楽しめるとは、樹木の多い古い団地は捨てたものではないですね。
これも樹氷には違いない(*’▽’)と感激したのでした。

季節の便り | 06:33 PM | comments (x) | trackback (x)
ぼかし屋友禅 新年ご挨拶




2023年が皆さまにとって良き年となりますよう、お祈り申し上げます。
戦火にある国々に平和が戻りますように。


ぼかし屋ベランダの万両
例年、年明け前にヒヨドリのお腹に入ってしまう赤い実が、今年はお正月までもちました。

お知らせ | 03:39 PM | comments (x) | trackback (x)
東京手描き友禅は誂え染めなので、お客様ごとに図案を描き、それを生地に写し取ってから糸目糊置き、色挿しへと進みます。
図案を生地に写し取る時に使うのは図案台とか図案机、図案トレース机などと呼ばれる作業台です。
ぼかし屋ではこれまで主に友禅の染め作業机で兼用してきました。
こんなふうに。


友禅作業机はとても大きいので生地も図案も動かしやすく、照明の上へ移動させやすい利点があるのです。

でもガラス面の大きさに惹かれ、今年は思い切って専用台を購入しました。
専用台は注文が入ってから材料屋さんが家具屋さんに依頼して作ってもらうので、待つこと1か月ほど。注文した京都の材料屋の田中直さんから大きな箱入りで届いたところ。


届いた梱包を開けて驚いたことに、フワ~ンと立ち上る強い木の香り。想像していたより立派な木です!節も見あたらず。
造り自体は単純なものなので、家具屋さんではなく、建具屋さん、もしかしたら製材所でも作れると思います。
端材には違いないでしょうが、きっちり製材された良質な木材なのに驚きました。杉か檜か?
台はこのまま使い始めてもよいのですが、これはもったいない、大切にしなくては!と思い立ち、白木の木材を柿渋で保護することにしました。

 
届いた白木の状態。ガラスをはめる内側の溝も本当にきっちり彫られています。正確で美しい。


柿渋塗りの前に目の細かいサンドペーパーで磨きます。


柿渋液 日曜大工用品のオンラインショップで購入。刷毛も忘れずに。


一回めを塗ります。裏面、側面のまんべんなく。


数日放置してから塗り重ねるのを3度繰り返し。


時間の経過と共に柿渋は濃く発色し、塗り上がり後も数か月かけて渋いミルクチョコレート色になっていきました。


最後の仕上げにBee’s Wax(蜂蜜を原料とする木製家具用のワックス)を塗り込みました。


木材に油分が加わることで耐久性が上がるそうです。ぼかし屋の大事な大事な和箪笥もこのワックスで磨いています。
時間をおいて布で乾拭きして磨き完了です。

天板に置くのはサイズを測って購入しておいた透明なアクリル板


保護紙をずずいっと剥がしていくのがちょっとした快感でしたよ。
一度剥がせば二度と戻らぬ~♪ 最初の一階限りの作業ですから。
最後に台の天板に透明アクリル板を載せて完成。


下に電灯を置いて使用開始です。



もともと天板に載せるのはガラス板です。台の内側の溝にはめ込むように載せて使います。でもガラス板は大変重く取り外しも気軽に出来ないのがネック。広くはない作業部屋なので台を置いたままには出来ないからです。
アクリル板は厚さも長ささも希望通りにしやすく、ガラスより軽いので持ち運びしやすいのです。
描く位置によっては天板に私の体重がかかるので、台のサイズめいっぱいの大きさのアクリル板で覆うように使うことにしました。

アクリルの注意点は→ 可燃性!!下に置く照明は白熱灯禁止です。発熱しないタイプに限ります。
ご参考までに→ 木材には油分の補給が必要というお話。木工食器の職人さんに聞いたところではお椀やお盆といった食器類の場合はオリーブ油を塗り込むと良いそうです。いったんベタベタしますが、時間をおくと落ち着き、最後に布で仕上げ磨きすると木が生き返ります。

東京手描友禅の道具・作業 | 05:00 PM | comments (x) | trackback (x)
肩脱ぎ姿(かたぬぎすがた)という言葉をご存じでしょうか。
主に男性の着物姿で、着物を着て帯も締めてから片方の肩だけ着物を外して袖も抜くのです。するとその肩から胸にかけて肌が見える、または下着(小袖)だけの状態になった姿です。正面から見ると一方の肩だけが着物をきちんと着ていて、脱いだ方の着物の袖が後ろ背中側に回っているわけです。

たとえば遠山の金さんが桜吹雪の見栄をはる姿
ばくち打ちがサイコロをエイっと振り下ろした姿。
ちゃんと衿合わせしていたのでは恰好がつきませんよね。歌舞伎でもここ一番の場面で、役者の片袖が外れることで姿が豪華に見える効果があります。
もっとも遠山の金さんは両肩外して「もろ肌脱ぎ姿」のこともありましたっけ。

さて本日紹介するのは外国映画に登場した肩脱ぎ姿。
映画「戦争と平和」言うまでもなくトルストイ原作のナポレオンに侵略されたロシアを舞台にした大作です。オードリー・ヘプバーンが主役ナターシャを演じたハリウッド映画で先日NHK BS3で放送されていました。

(写真は放送画面から)


中央の男性はナターシャの兄。正装の軍服の上に上着を羽織り、わざと肩脱ぎしています。
字幕に「約束よ」とあるのは、左のナターシャのセリフ。
初めての舞踏会を前に、どんなに壁の花でいようとも「お情けで兄に誘われたくない」と宣言しているところです。


肩脱ぎすると前よりも後ろ姿が派手になりますね。この姿は日本と同様、何か威勢を張りたい時のもの、そういうタイプの男性が好む姿なのでしょう。
これで踊ると



袖も派手に振れて目立ちます。お相手は妹ではなく恋人。

こちらは男性たちのファッション。

右端の二人はナターシャの兄と同じくロシア風の軍装で一人は肩脱ぎ姿
この一群の中に見慣れた軍装の二人がいます。そう、後列中央と右から二人目がベルバラ風、つまりフランス式の軍服なのです。
19世紀前半のロシアはフランスの影響を強く受けていたそうです。舞踏会シーンでもロシア風とフランス風、両方の軍服が登場します。フランス風軍服の人には肩脱ぎ姿は見当たりません。

意中の人とダンスできたナターシャ。お相手はフランス風。両肩の大きな肩章が特長で、まさしくベルバラ、オスカル様ご着用の軍服です!


ベルバラの舞台は18世紀中頃から後半の時代。「戦争と平和」は19世紀前半のナポレオン時代。時代の違いで本来ならベルバラ、オスカル様はナポレオン風の軍服ではなかったハズ。
これについては以前、作者、池田理代子さんご自身がインタビューに答えて「美的効果を優先してナポレオン時代の軍服で主人公のイメージを作った」主旨のお話をされていました。


右の男性。フランス軍服は踊る姿もすらりと見えますね。

肩脱ぎ姿は舞踏会以外にも。


手前の後ろ姿の男性から決闘を申し込まれた場面。女性を巡る諍い。この男性は女性にもててプライドの高い見栄っ張り。威勢を張って生きていくタイプなのです。


軍議の場面。ロシア風軍服の中央男性が右肩を外しています。映画の他の場面でも正式な場の肩外しが何度も描かれています。

この映画がどの程度忠実に時代考証しているかは分かりませんが、文芸大作ものの映画は原作の再現に力をいれて作られていた事と思います。
「戦争と平和」はフランスがロシアを侵略し失敗するお話。残念ながら今はロシアが侵略戦争を仕掛けている最中。トルストイが見たら何と言うでしょう、本当に!

12月6日 追記
肩脱ぎ姿はあまり日本以外では見かけません。欧米の時代劇でも記憶にないので、当時のロシアで本当に行われていたのか気になってロシア人が作った映画「戦争と平和」をチェックしてみました。やはり、あります、あります!


颯爽とした軍服姿。


後ろ姿を発見。外した肩に紐が通っています。服のずり落ち防止ですね。
肩を外したカッコイイ姿形を維持するための工夫ですね。


軍人では他に突撃する騎馬隊全員が肩脱ぎしている場面もありました。


動きが速くてボケましたが、肩脱ぎの騎馬姿で剣を振りかざして突撃しています。
世界史の教科書に載っているアウステルリッツの戦いのシーンから。
カッコイイ、威勢を張る、相手を威圧するといった場面にふさわしいファッションだったと思われます。


ロシア風の軍服には大袈裟な肩章がないので、このような重ね着ファッションが可能だと分かりますね。刺繍や毛皮の縁取りで豪華です。

こちらは平服ですが、コートを肩脱ぎしています。恋人を誘って駆け落ちしようとする友人を煽り立てている男性です。威勢よく景気付けしているわけです。


この映画は1967年に当時のソ連が国家事業として制作したものです。時代考証は完璧だったことでしょう。戦闘シーンや雪原を退却していくナポレオン軍が凍えるシーンなど大変見応えがあります。コンピューター技術がまったくない時代の映画ですから、画面の隅ずみまで本物だけで構成されているそうです。
日本以外の肩脱ぎ姿は貴重なので調べてみた甲斐がありました。


着物あれこれ | 06:39 PM | comments (x) | trackback (x)

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