東京友禅は、ぼかし屋友禅へ

 
 手描友禅の染め風景 シルクオーガンジーのスカーフ

 すっかり秋らしいお天気が続くようになりました。
東京でも紅葉が目に付き始めましたが、
今日ご紹介するのは、ちょっと季節はずれな染め。(^^;)
  最近始めたシルクオーガンジーのスカーフ生地への手描き染めです。
東京手描友禅で本来使用する着物や帯用の絹地と違い、シルクオーガンジーは向こう側が透けて見える薄い生地で、大変張りがあり、スカーフにすると立体感のある形に結べます。



 緑の地染めをぼかし染めしていますが、生地の目が粗いので刷毛でサッとなすっただけで染料がぼけていき、和服用の白生地と違い、霧を吹いたり刷毛で擦ったりする必要がありません。
 あとは無線友禅で模様を染付けます。



 このブログによく登場する染色作業机ですが、いつもと違い机が透けて見えています。

和服地の時と同様に、シルクオーガンジー地を模様伸子に張って作業しています。針のついた竹でピンと張っても大丈夫なのは、薄いといえ絹だから。丈夫なのです。

 お気づきでしょうか。透けて見える伸子針は斜め互い違いにうってあります。
今年8/15の当ブログ「東京手描き友禅の道具、伸子(しんし)」で紹介したように、
通常、伸子は生地の横糸目にそって真っすぐ張ります。しかし生地が薄いとか、張る力を弱くしたいなど必要がある時はこのような打ち方もいたします。
 
 今回は自家用小物の染め紹介でした。(^^;)
ぼかし屋の染め風景 | 11:57 PM | comments (x) | trackback (x)
 東京手描き友禅、模様の参考に有田焼の展覧会を観てきました。



  ポスターの写真は「色絵有職文耳付大壺」
 蓋のつまみは獅子、壺の耳は鳳凰で、全面に描き込んだ有職文は狂いなし!です。
1875年頃 パリ万博に出品されたらしい作。
らしい、というのは、当時の会場写真に近似する壺が写っているからだそうです。

 放送やネットで画像を観られる現代と違い、当時の万博は輸出品を紹介するカタログのような存在。職人は腕のふるい甲斐があったことでしょう。
 日本の工芸のなかでも陶磁器、金属細工、漆塗り、刺繍などの技術は明治期が絶頂期だったとよく聞きます。輸出による外貨獲得を目指して、政府が優れた工芸品の製造を奨励したからです。
イタリアルネサンスにはパトロンとしてのメディチ家が欠かせなかったように、明治期は日本国が職人たちのパトロンとなり、競わせて生産させた技術の高い工芸品を西欧に輸出していたのでした。ここ数年の各種展覧会はちょっとした「明治超絶技巧流行り」ですね。


    色絵人物花鳥文コーヒーセット(明治初期)

 図説によれば、西欧の形に和風の模様で、当時の輸出品の特徴がよく表れた作例。
ポットが2点。それぞれコーヒーとミルクを入れ、高い所からカップに注ぎ込んでカフェオレにしたのでしょうか。

作者の心意気を感じた花瓶を紹介します。


  色絵牡丹文花瓶(香蘭社製)1875年(明治8年)頃

 風に吹かれてそよぐ牡丹。釉の上に黒い顔料を斜めに吹き付けて、吹く風を表現しています。
この図自体は清朝絵画(風牡丹図 神戸市博物館所蔵)を参考にしたと推定されるそうです。
 「とにかく和風、東洋風の模様が描いてさえあれば西洋人は喜ぶ」という制作姿勢を感じる作もある中で、この花瓶は作者が表現したかったことが伝わる一作だと思います。

 この展覧会は磁器の作品ばかりでなく、当時の図案が展示されていました。


    いずれもパリ万博用の図案。

 左上の雪よけから覗く牡丹の図案はよくご覧いただくと、壺全体が雪よけです。磁器の実物は発見されていないとか。残念です。でも「雪よけ」は当時の西洋の人々に分かってもらえたでしょうか。ちょっと心配…。
 左下の図、「間垣の向こうの菊」は手描き友禅のお手本そのもの(^^)/

 こちらは図案、作品、箱書きがすべて残っている幸運な例

   色絵亀甲地羽根文瓶 1902年(明治35年)頃

白い羽根は絵具を盛り上げて立体的な表現となっています。

 今もまったく古さを感じさせないディナーセットもありました。

   染付菊唐草文洋食器 1879年(明治12年)頃

 左上の五角形の大皿は、図説によれば魔除けの意味を持つ五芒星形で、洋食器としては大変珍しい形だそうです。
真ん丸の菊文を唐草にしているので、皇族が使用した食器でしょうか。

 最後の写真は風呂敷です。ミュージアムショップで買いました。

 紺地のしっかりした綿地に有田焼の模様がたくさん。
風呂敷は必需品なのでいくつあっても嬉しいものです。

 この展覧会はこれから全国を巡回。来年の今頃が東京開催。
だいぶ先なので、横浜展を観られて幸運でした。
 それにしても、絶滅危惧種ばかりの現代の伝統的工芸品の厳しい状況を思うにつけ、明治期は工芸にとって幸せな時代だったと思わずにはいられません。

 ちなみに友禅染は伝統工芸の中では新しい技術で、始まりは江戸時代。最盛期は大正昭和。戦後の混乱期を過ぎてからの昭和40年代位までと言われています。
東京手描き友禅にもメディチ家が現れないでしょうか。(^^;)
展覧会ルポ | 09:56 PM | comments (x) | trackback (x)
遊びの染め帯「金のガチョウ」

前回のブログでご案内したしゃれ帯展へ出展中の染め帯のうち、
今年のテーマ「童話」の染め帯を、染め風景とともに紹介いたします。

 「金のガチョウ」から。
前柄は男の子がガチョウを抱いて一人で歩いているところ。


  糸目糊と地染



 お太鼓柄は、大勢の人々が男の子とガチョウにくっついて離れなくなり、
ひっぱられてゾロゾロと歩いているところ。


  色挿し


   おたいこ柄
  男の子、オバサン、兵隊さん、神父様、木こりや娘に子供、最後に猫の行列です。

名古屋帯に仕立てると、男の子がおたいこ柄の上部に、猫が下の方にくる柄行きです。
今回は「子供の絵本の挿絵」を目指して楽しい帯にしてみました。
ぼかし屋の染め風景 | 01:05 AM | comments (x) | trackback (x)
東京手描き友禅の染め帯展

今年も先輩方にお誘いいただき、東京手描き友禅の染め帯展
に参加いたします。

「しゃれ帯展」

9/29(火)~10/4(日)
AM11:00~PM18:00
(最終日はPM17:00まで)

場所→ギャラリー サロン・ド・フルール
   東京メトロ表参道駅 B3出口より徒歩3分
   03-5485-8748



 こちらは昨日9/25の東京新聞の紙面です。
プレスリリースしたところ、しゃれ帯展を紹介して下さいました。
 同じ経産省指定の伝統的工芸品であっても、京都や金沢のような知名度がない東京としては、有難いことです。
写真左は先輩、田邊慶子さんの「シンデレラ」今年のテーマ「童話」に因んだ作品です。
写真右は拙作。蘭をモチーフにしております。

表参道界隈にご用でもおありでしたら、是非お立ち寄り下さい。
小さな画廊の展覧会ですが、伝統的な柄行きの帯以外にも
和洋の「童話」に題材を取った楽しい作品が見られます。

 私は二作の出品。会場には最終の10/4におります。
なおこの時期、同じ表参道駅に近い根津美術館では、
「根津青山の至宝初代根津嘉一郎コレクションの軌跡」が開催中です。

お知らせ | 11:18 PM | comments (x) | trackback (x)
手描友禅模様の参考に。其一の菊図と池坊の展覧会

今日九月九日は重陽の節句。長寿を願って菊の露を吸わせた綿を…云々、
ところが台風が来て、ほぼ日本全国強い雨だとか。東京も朝から荒れ模様です。

重陽の節句は 菊の節句とも呼びますから、一番好きな菊の画を紹介いたします。
以前も取り上げたことがある鈴木其一の菊図(ボストン美術館所蔵)です。


 ほんのりピンクに染まった小菊が群れ咲いている図で、小振りな二曲だけの屏風です。
女性が文机の脇に置いた、と想像しております。



はるか以前、当時の銀座松坂屋で開催されたボストン美術館屏風絵の里帰り展
観て一目ぼれ。これをきっかけに其一が好きになりました。

 さて先日、三越本店で開かれた生け花、池坊の展覧会に行ってきました。



 秋の始めとて、花材は秋草や色づいた木々でした。


 とても素晴らしいと感じた作品がこちらです。(撮影自由でした)

ナナカマドの葉が向こうの方に見える構図。足元に蘭が小さく。青々した葉が中央に配置され
作者の方が表現したかったのは、まだ暑さの残る初秋かな、と思いました。!(^^)!


 
 こちらは秋草を盛った竹の花車。このまま友禅模様になりそうです。藪柑子が加わって、ありそうでない可愛い展示でした。
 友禅模様のよい勉強になりました。ありがとうございます。

季節の便り | 12:25 PM | comments (x) | trackback (x)
東京手描友禅の道具、伸子(しんし)
 着物生地に手描きで染付けする作業に欠かせない道具に伸子があります。「しんし」と読みます。生地に模様を筆描きする時や、手描き友禅用の糸目糊置き、伏糊置きをする時に、長い生地の一部だけ(作業したい部分)をピンと張るのに使うものです。
 伸子には、長くてサイズが色々ある模様伸子(もようしんし)と、基本的に反物の横幅を張るサイズの伸子針(しんしばり)の二種類あります。
作業中の写真をご覧ください。


見頃一本の裾模様二か所を伸子で張っているところ。作業する面と裏側と。


 生地を対角線に大きく張っているのが模様伸子
×に交差した部分を左手で持って作業します。
生地の横幅を等間隔で張っているのが伸子針


 どちらも先端に針がついていて、その針を生地に挿して張るのです。

 伸子針は地色を引き染めする時も使います。

 引き染めをすると伸子針の先端部分(針の根元)が染料で汚れます。


 
 繰り返し使用するために汚れるつど色抜きします。たとえば緑の染料が付いたまま次の白生地に針を使うと、生地の端に緑色がポチポチと針から染み付いてしまうのです。

 色抜き剤をいれた湯に伸子針を入れてグラグラ煮て色抜きします。

色抜きと同時に、熱い湯のおかげで曲がった伸子針がまっすぐに戻ります。
竹って大したものです。もう四半世紀以上前から使っている伸子も現役なのですから。
何度でもまっすぐに戻り、生地をピンと張ってくれるのです。


 色抜きしたら、色抜剤が残らないよう伸子針をザクザク水洗いして、
三日ほど乾かして出来上がりです。作業に欠かせない金盥と軍手も一緒に写しました。
みんな友禅の縁の下の力持ちたちです。

東京手描友禅の道具・作業 | 12:49 AM | comments (x) | trackback (x)
手描き友禅の中でも、糸目糊を使わず水彩画のように筆描きする技法を無線友禅と呼びます。
白生地が濡れた状態で無線描きすると、染料が滲んで柔らかい仕上がりになります。これを濡れ描きとも呼び、薄くふんわりして夏向きです。


   こちらが濡れ描きしているところ。
糸目友禅の振袖や訪問着の雰囲気とはまったく違います。

 霧吹きが写っていますが、生地が乾かないように霧を吹き付けながら、花や葉を描いていきます。ぼんやりした感じを出すことができます。
 この猛暑、何事も少しでも涼しげに。

最近の話題を少々。

その一出光美術館の「田能村竹田展」を観てきました。
末の文人画家ですが、実は知らない名前でした。
ポスターに写る作品の細かい表現に惹かれて行ってみました。



 文人画というとササッと筆を走らせた水墨画というイメージがあります。そういう作もありましたが、こんな細かい画も!


   梅花書屋図(部分)

 塀の積み石から梅の老木の表現まで、本当に細かい水墨画でした。



この蘭の画はいかにも文人画という感じですが、蘭の描き方は可愛らしい感じで、画面に蘭で流れを作っているところが、着物の模様のようでした。

一番気に入ったのはこちら。


   目撃佳趣画冊(部分)

 この題は「よい趣の風景を観てスケッチした」という意味だそうです。
田能村竹田は、漢詩人、歴史家の頼山陽と親交があり、この画冊は一緒にスケッチ旅行をした時に描いた画をまとめたもの。つまりスケッチブックというわけ。
 この川辺の画はその中の一点です。川面をおおう葦が細かく柔らかく、
小さい作なので、かがみ込んで観ましたら、色も使い分けて描かれていました。
涼しそうな画なので、よけい気に入ったのかもしれません。(^^;)
添えられた漢詩を読む教養がなく残念でした。

 出光美術館はお茶の無料サービスがあり、鑑賞の途中で一服することができます。休憩所からは皇居のお堀が眺められて、冷たいお茶を片手にゆっくり座ることもできます。
 よい美術館です!

その二、この夏のよもやま話。

 今日、8月9日は長崎の原爆記念日。
先立つ8月6日には映画「黒い雨」の放送がありました。井伏鱒二原作のこの映画はご存じの方も多いことでしょう。爆撃直後の広島を逃げ歩いた主人公(演じるのは元キャンディーズの田中好子さん)が何年も経ってから原爆症に罹って亡くなってしまうお話です。
 毎年この時期になると放送されます。観るべきだ、と思いつつも、明るい気持ちになる映画でない事はあきらかなので、いつも先送りしてきました。
でも戦後70年、実は「戦前」なのでは…という不安の絶えない今年の夏ですから、思い切ってテレビの前に座りました。
 被ばくの恐ろしさは勿論ですが、爆撃直後の広島市内を再現した映像はショックでした。考えてみれば、東京下町の空襲を逃げ延びた両親(当時中学生)から、聞かされ続けた情景と似ているのでした。「アメリカのB29が空いっぱいに飛んできてね」と聞かされて育った私は、空襲の恐ろしさについて「知っている方だ」と思ってきました。でも、この映画を見ますと、「両親が見たのは、これほどの惨状だったのか…」と今さらながらに思い…何とも言えない気持ちでした。
どのようだったか、なぜそうなったのか。
忘れてはいけない事、知るべき事、伝えなくてはならない事が沢山たくさんありますね……。
ぼかし屋の染め風景 | 09:09 PM | comments (x) | trackback (x)
 梅雨が明け、とんでもない暑さがやってきました。ぼかし屋所在地は東京都の南部。埋め立て地で海に近いため、北部や内陸部よりいくらか凌ぎやすいハズですが、暑い熱い!!
 そこで今日は、以前見た涼しげな織物を紹介いたします。
 今年一月の東京国立博物館に常設展示されていた18世紀の能衣装で、
ご覧いただきたいのは、右の白い衣装



水浅葱褸地水衣(みずあさぎ・よれじ・みずころも)

素敵にわざとヨレヨレっと織られているのです。

解説文は以下の通り。

褸(よれ)とは、経糸(たていと)に生糸(精練されていない無撚の絹糸)、緯糸(よこいと)に麻糸を用いて平織にし、経糸の間隔を粗くして緯糸の打ち込みをまばらにすることによって、よろけたような織り目をつけた織物である。能装束において、庶民の労働着として使用する水衣に好まれた。

なるほど!生地をアップいたしますと、



柔らかく涼しそうな生地ですね。
麻糸だけで織ると独特のゴワゴワ感がある織物になるところを、半分は絹糸で織って柔らかくして、材質の違いから絹糸が麻糸の間をフワフワと踊っているような感じに織られていました。

 大辞林によれば、(要約)
水衣→ すいい、みずごろも。
・水仕事などをする時に着る衣。
・能装束の一種。緯(よこ)糸を太くするかまたは緩く織って波打たせた絹の上衣。シテが用いれば漁夫・樵(きこり)などの粗衣に,ワキが用いれば僧衣となる。

 能衣装においては庶民の労働着に使われたとのこと。
日本の夏は昔から湿度が高かったわけですから、働く庶民は少しでも涼しいように、同じ平織でも糸に遊びを持たせて織り、肌に密着しないように工夫したのでしょうか。もっとも絹が労働着に使われたとは思えません。実際は麻か木綿で褸地を織っていたのかもしれません。

 難しい漢字が並びましたが、(よれ)はボロを表わす襤褸(らんる)と同じ文字ですし、形状から見ても、この織り方が「ヨレヨレ」の語源に違いないと思います。
残念ながら、手元の事典や本、ネット検索やら色々あたっても「語源です」と言い切ってくれる文章には出会いませんでした。
 どなたか詳しい方がいらっしゃいましたら、
お問い合せフォームからお知らせくださいますか。

この記事には続きがあります▼
着物あれこれ | 04:02 PM | comments (x) | trackback (x)
東京手描友禅の染め帯・若草色と藤色

東京手描き友禅の一点物を創作する時は、常日頃やってみたいと思っていた柄行きと色合いを試してみることになります。
「こんな染めをやってみたい」というヒントは様々なところから頂戴します。
もちろん琳派の絵師たちの作品など、著名な美術品からヒントを得る事は多いのですが、日常生活の中から得ることもよくあります。
 今回は何気なく見ていたテレビの画面から得たヒントで制作した染め帯をご紹介します。

 こちらがその映像。NHK大河ドラマ「伊達政宗」の再放送でした。




 真田広之さん演じる徳川家の御曹司が、思うようにならない人生の成り行きに思い悩むシーンです。
暗い室内の向こうに明るい若草色が広がり、小袖の藤色がよく映えていました。
 緑系と紫系の取り合わせは、元々あまり好まなかったのですが、この映像は印象に残り、頭の中の「いつかやってみたい引出し」に保管しておりました。
 今回機会を得て実現したのが、こちら…



 染め工程から何点か写真を紹介します。


  引き染め。

 濃淡二色をそれぞれ二度に分けてぼかし染め。このような裏からの写真ですと、ぼかしの足をわざと雲取風に形作っているのが分かりやすいと思います。


色挿し

 若草色に対して藤色を活かすのが目的ですが、藤色を中心に花の色を複数足して華やかさと出します。
糸目友禅で蘭を描いています。葉の一部を無線友禅でも描き添えて、模様の雰囲気を雲取風の地染めと釣り合わせました。

無線友禅を重ね描きすると、重なり目で色が変化するのを利用して、ちょっと面白く…。
このようにクローズアップすると生地の織り目がよく見えますね。金通しの紋織です。

 それぞれ濃淡があるので、使う色はかなり多くなります。


 染めていて自分で綺麗だなと楽しむことが出来ました。
 悩む真田広之さんの場面は、映像を作るディレクターさんが、「ここはこんな光と色の具合でいきたい」と考えて撮影なさったはず。俳優さんがどんな色の小袖を着たら美しいか、そこも考えたのかもしれません。
 さらにそこから頂いたヒントで色取りを考えたわけです。
 出来上がりは, 悩みとは無縁な明るい華やかな雰囲気になりました。

 これからも、江戸の昔から伝わる伝統的な模様、柄行きを尊重しつつ、
今ならでは、ぼかし屋ならではの東京手描き友禅を試行錯誤していきたいと思います。
色々なところからヒントを得なくては!

ぼかし屋の作品紹介 | 01:06 PM | comments (x) | trackback (x)
 東京手描友禅ではあまり取り上げない画題なのですが、私は紫陽花が好きで、訪問着や帯に紫陽花を幾度となく染めております。


ぼかし屋風の紫陽花

 今日の東京は雨。いかにも梅雨らしい曇天のもと、用足しのついでに雨に濡れた紫陽花の写真を撮りに近所を歩いてみました。


  日本画のような構図、(*^^)v自画自賛。


  雨露で重そう…


 色のグラデーションこそ紫陽花の楽しみです。

 紫陽花は古くから日本で親しまれた花ですが、画題に取り上げられることは少ないようです。それでも四季花が描かれる場合には葵や百合とともに登場いたします。


鈴木其一「紫陽花に百合立葵図」


  其一の師匠、酒井抱一の「四季花鳥図屏風」(一部)


  抱一の弟子として、其一よりさらに後輩にあたる酒井道一の「紫陽花図」
 道一は、万博に作品を展示するなど江戸琳派の代表として明治期に活躍したそうです。

 この春に高島屋で開催された「細見美術館 琳派のきらめき」展で拝見したのですが、心なしか西洋の香がする絵でした。花びらの青に不思議な透明感があり、アールヌーヴォーのエナメル細工のような感じでした。

  最後に本日の朝日新聞から。
3
 
箱根登山鉄道の線路沿いのアジサイが見頃となり、夜のライトアップが始まるという記事です。
ライトアップされた中を夜間特別電車が走るそうです。
一度行ってみたいのですが、まだ機会がありません。

 同じ紙面の天気図は雨ばかり。 本当に梅雨まっさかりです。

季節の便り | 02:29 PM | comments (x) | trackback (x)

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